京極夏彦による同名小説を原作とした舞台『死ねばいいのに』が2024年1月20日(土)から紀伊國屋サザンシアターTAKASHIMAYAで上演される。
主人公の渡来健也を演じる新木宏典は「お話をいただいて嬉しかったです。ただ、実年齢と一回り以上離れている役なので、正直、最初は僕でいいのか?と思いました」と明かす。「でも原作を読むと、若い役者がこの渡来健也という人物を理解し、表現に落とし込むのは確かに難しいかもしれないと感じました。舞台版ではそういったバランスを考えながら作る必要があると思いますね」とも。既に本読み稽古が始まっているといい、「分厚い小説を2時間の舞台にするので、登場人物の一人当たりにかかる時間が凝縮されるわけです。セリフになっていない部分をどう表現として取り入れるか、役者のスキルがシビアに求められるなと感じます」。
脚本・演出のシライケイタは舞台化にあたって「ポジティブで楽しいものが求められている時代に、これだけ人間の心理に迫っていくような、人間の深淵を覗き込むような作品は珍しいと思いました。2人だけの会話が続きますし、奇想天外なストーリーでもないですから、ある意味、ものすごく地味かもしれません。でもそれをエンタメ作品で活躍する新木さんのような俳優さんと一緒にできることに惹かれました」と話す。新木については「僕がこれまでお仕事してきた俳優さんの誰ともタイプが違う気がします。少し話しただけでも非常にストイックで、表現に対して真摯な俳優さんだと分かったので、心強いです」とコメントしていた。
2024年最初の舞台。改めて23年を振り返ってもらうと、新木は40歳を迎えるにあたり、芸名の表記を変えたことに触れつつ「大きな転機になったと思います。来年もやりがいのある作品が控えていますし、これからも成長できるように貪欲に取り組んでいきたいです」と語り、シライは座・高円寺の芸術監督に就任したことを挙げて「俳優・劇作家・演出家という3足の草鞋に、小劇場・大劇場・公共劇場という三角形も加わって、6面体のようになりまして......。来年はよりこの国の文化芸術を豊かにしていくことを真剣に考える年になりそうです」と話していた。
公演は1月28日(日)まで。そのほか津村知与支、宮崎香蓮、伊藤公一、阿岐之将一、魏涼子、福本伸一が出演する。
取材・文:五月女菜穂
スタイリスト(新木宏典):当間美友季(KIND)
ヘアメイク(新木宏典&シライケイタ):太田夢子(株式会社earch)
新木宏典 衣裳クレジット
セットアップ、シャツ(Ayne tokyo)
レースアップシューズ(Ayne doppio)