夫は長年勤めた会社を定年退職しましたが、そのときはさすがに思うところがあったのか私がいる客間に来てそれを告げ、退職金について尋ねたら『俺の口座に入っているけど、今後のために使わずに置いておく』と言っていましたね。
今まで特に目につく浪費もすることなく地味に暮らしてきた夫だけど、娘たちが県外に出てからは連絡を取っていて、長女の結婚式ではきちんと父親の務めを果たす姿を見て、離婚しなくて正解だったと改めて感じました。
私はパートとして近くのスーパーで働き、夫は退職後すぐ小さな警備会社で同じくパート勤務のような感じで仕事をしているらしく、詳しくは知らないけれど毎月わずかな額を習慣のように渡してくれます。
こんな夫婦生活を寂しいなと感じるときも正直に言えばありますが、今の楽しみは孫の誕生で、そのときはまた夫と会話をする機会があるかもしれないとも思っています」(女性/61歳/小売業)
お話を伺っていると娘さんたちへの依存も感じられるこちらの女性ですが、夫婦生活が空虚になると子どもたちへの関心が強くなるのもよくあるケースで、自分の生き方を子どもたちに合わせ続けることで精神のバランスをとっているともいえます。
他人が口を出すことではなく、その生き方を続けた結果の老後についても、ご自身でしっかりと受け止めることを考えるばかりです。
関連記事