ゆくゆくは新潟県大会を開きたいと語る、クラスメソッドの最高情報責任者 植木和樹さん

「子どものプログラミング教育にかかわるようになったのは、上越教育大学の大森康正先生との出会いから」と語るのは、クラスメソッドの最高情報責任者 植木和樹さん。2021年に「U-16プログラミングコンテスト上越妙高」を立ち上げた中心人物だ。ある日、U-16プロコン札幌大会の動画を見る機会があり、是非上越でも開催したいと動き、事前講習会から大会の開催までこぎつけた。今年も11月に3回目を開催、上越にもU-16プロコンが根付いてきた。そんな植木さんに立ち上げから現在までの経緯を聞いた。

植木さんは「2014年、上越オフィスに赴任したのをきっかけに、小中学校向けの情報教育過程を準備していた大森先生に出会った。準備を手伝ってもらえないか、という話から、プログラミング教育にかかわるようになった」と話す。「試験的にスクラッチを使った講座をやっていたが、ちょうど息子が8歳。小学校に入ったばかりだった。プログラミング教育の実践例として息子を講座に参加させたりしながら、子ども向けのプログラミング教育の導入を手伝った」という。

その後植木さんは、U-16プロコン札幌大会の動画で「CHaserを使った大会が面白そうだと思い、大森先生に相談した。すぐに上越でもやろう、ということになった。確かにスクラッチなどは、プログラミング教育の導入としては優れている。しかし、スクラッチができるからと言って、それで仕事はできない。何か次のステップはないものかと考えていた矢先だった」と話す。

最初の年は参加者が7名。8回の事前講習会を経てコンテストを開催した。会場は上越妙高駅西口にある、オープンしたばかりの「JM-DAWN」。NTT東日本が作った、ローカル5Gの実証実験ができる施設だ。丁寧な事前講習のかいあって、通信エラーや壁にめり込んで自爆する選手はなく、初回からレベルの高い戦いを繰り広げた。講習会を見学していた保護者がCHaserに興味を持ったことをきっかけに、(自称)U-30の大人たちの大会も同時に開いた。最後に、エキシビションとして、U-16とU-30それぞれの勝者で戦ったところ、U-16の勝者に軍配が上がるという結果になった。

順調に立ち上がったプロコンだが、依然問題はある。「コンテストの存在をどこで伝えたら、子どもや親の目に留まるのか、については、まだ悩んでいる」という。教育委員会の協力で学校にチラシを置いてもらってはいるが、それだけでは十分とは言えないようだ。

しかし、費用の面では変化があった。「これまでは主な運営費を上越教育大学がまかない、他はすべて手弁当でやってきた。今年は上越市から、IT人材育成の一環として産業政策課で予算をつけてもらった。会場費やチラシ代などいくばくかの経費は、これでまかなえるようになった」。今年は、参加対象を上越市、妙高市に加え、糸魚川市にも広げ、作品部門も新設した。植木さんは「ゆくゆくはU-16プロコンを新潟全域に広げ、県大会を開き、全国大会に選手を送り出したい」と語った。(ITジュニア育成交流協会・道越一郎)