霧島 (C)日本相撲協会

令和六年の主役は霧島か、貴景勝か、それとも……。今から土俵上の勢力争いが楽しみである。

令和四年は31年ぶりに6場所すべてで優勝力士が異なる混戦模様となった。『一月場所』は御嶽海、『三月場所』は若隆景、『五月場所』は照ノ富士、『七月場所』は逸ノ城、『九月場所』は玉鷲、『十一月場所』は阿炎が賜杯を手にしたのだった。そして今年は貴景勝が『一月場所』と『九月場所』、霧島が『三月場所』と『十一月場所』を制し、照ノ富士が『五月場所』、豊昇龍 が『七月場所』で優勝した。

霧島の『十一月場所』の戦いぶりは見事だった。熱海富士との2敗同士の直接対決となった14日目。待ったの後の仕切り直しで、霧島が出足鋭くぶつかるも互いに上手は取れず。すると霧島は左おっつけで攻め、左を巻き替えてもろ差しになり攻め込み、回り込む熱海富士を逃さずに寄り切った。千秋楽では熱海富士が4敗目を喫して結びの一番を前に、4場所ぶり2度目の優勝を決まったが、集中力を切らさなかった。対戦成績で7勝8敗と負け越していた貴景勝を突き落としで切って落とし、13勝2敗でモンゴル出身力士100回目となる優勝の節目を飾ったのだ。

年間最多勝は62勝を挙げた霧島であり、千秋楽の結びの一番の大役も『三月場所』と『七月場所』『九月場所』『十一月場所』と6場所中4場所も霧島が務めた。今年の顔はこの大関と言って異論はないだろう。

だが、来年はさらなる飛躍が期待される。『一月場所』には綱取りが懸かっている。『三月場所』は師匠の陸奥親方(元大関霧島)にとって定年前の最後の場所である。師匠の最後の花道を新横綱として花を添えれば……と夢は広がる。今の霧島にはそう思わせるだけの力量と雰囲気がある。

もちろん、『十一月場所』で綱取りに失敗した貴景勝もこのまま黙ってはいないだろう。4場所全休となった横綱・照ノ富士も進退を懸けて巻き返しを図ってくるはずだ。大関豊昇龍も主役争いに割って入ろうと虎視眈々。さらに『十一月場所』で11勝を挙げ5度目の敢闘賞を手にした琴ノ若も次の大関取りへ照準を合わせている。再入幕後、2場所連続11勝の熱海富士はまだ21歳、これからが楽しみである。

果たして、来年の主役は霧島か、それとも誰かが取って代わるのか。『一月場所』は1月14日(日)~28日(日)・両国国技館にて開催。チケットは12月9日(土)一般発売。