(左から)長田庄平、松尾駿、松平健 (C)エンタメOVO

 世界一のチョコレートの店を出すことを夢見るチョコ職人のウォンカ(ティモシー・シャラメ)は、一流の職人が集まるチョコレートの町に向かう。だが、魔法のチョコレートを生み出すウォンカの才能は、町の実力者・チョコレート組合のねたみを買う。ウォンカは邪魔をされながらも仲間と一緒にチョコレート店を作る夢をかなえようとするが…。

 『チャーリーとチョコレート工場』(05)の誕生秘話が明かされるファンタジー超大作『ウォンカとチョコレート工場のはじまり』が12月8日から全国公開された。本作の完全吹替版で、ウンパルンパ(ヒュー・グラント)の声を吹き替えた松平健と、警察署長(キーガン・マイケル・キー)役のチョコレートプラネット・長田庄平、神父(ローワン・アトキンソン)役の同・松尾駿に話を聞いた。

-今回は、どういう経緯で吹き替えをすることになったのでしょうか。

松平 特別なことはなく、お話しを頂いて決定したという感じです。吹き替えの経験はあまり多くないので、少しだけ不安はありましたが、この役がかわいくて、普通の人の役をやるよりもすごく変わった役だったので面白いなと思い、参加を決めました。

松尾 僕らは勝手にスタジオに乗り込んでやりました(笑)。

長田 多分、チョコレート関係で縁があったのかなと思います。

-ご自身が吹き替えたキャラクターについてどう思いましたか。

松平 かわいい小男で、とある島でカカオを守る番をしていたけれど、ウォンカに取られたカカオを取り返しに来るんですが、すごく横柄で、結構言葉遣いも態度もでかい。ウォンカに対しても、すごく上から目線になっていましたね(笑)。だからその辺は少しプライドを持った感じでやりました。

-吹き替えたヒュー・グラントは、どんなイメージでしたか。

松平 ジェントルマンですね。やっぱりイギリス紳士だなっていうイメージでした。特にこの作品の中では、キャラクターを踏まえて相手を下に見て偉そうにしゃべるという演技をされていて、その演出も相まって全く違和感がないお芝居だと感じました。

-長田さんはいかがですか。

長田 そうですね。アメリカのコメディアンの方が演じているので、芸人つながりでやらせてもらえて光栄です。

-松尾さんは、あのローワン・アトキンソンの吹き替えでしたが、どんな感じでしたか。

松尾 やっぱり、「Mr.ビーン」を見ていたし、大好きだったので、やらせていただけるのは本当に光栄でした。

-Mr.ビーンの人を吹き替えるというプレッシャーはありましたか。

松尾 やっぱりMr.ビーンのイメージが強かったんですけど、考えたら、Mr.ビーンってあんまり声を出していなかったので(笑)、プレッシャーはあまりなかったです。

-今回、吹き替えをするのに当たって、何か気を付けたことはありましたか。

松平 ウンパルンパは紳士なので、威厳を持っているところがあります。それで監督から「あまり優しくならないように」と言われたので、そこは気を付けました。でも、どこかおかしなところもあるキャラクターで、かわいいところもあるので、そのギャップみたいなものが出ればいいのかなと意識しながら演じました。

松尾 僕は、あまり意識せず、普通にほぼこのままでやらせてもらいました。1回やってみたら、そのまま行けたので、あーこれで大丈夫なんだと。でも、どこかに俺はコメディアンなんだっていうのを、気持ちのバイブスに残しながらやりました!

長田 バイブスって何だよ(笑)。 

長田 警察署長はウォンカと対立する立場なので、ちょっと嫌な感じを出しつつも、コメディーっぽい感じを残すことに気を付けました。あまりきつ過ぎないように、憎めないところがあって、ちょっとおちゃめなところもあるというのを意識しました。どんどん太って体格も変わっていくので、声質も変えてみました。

-今回は、歌も吹き替えていましたね。松平さんはもちろん歌手でもありますが、今回はどんな感じでしたか。

松平 今回はちょっと難しかったです。一番上の声がなかなかはまらなくて。ご本人(ヒュー・グラント)が踊りながら歌っている、ということもあり、踊りながら、リズムを取りながらやらせてもらいました。もっと膝を曲げたらとか言われながら(笑)。

-今回の吹き替えは、皆さん一緒にはしていないのですか。

松平 1人でやっていました。

松尾 僕らも別々でした。

-別々だと難しくはなかったですか。

長田 難しいですね。多分、順録りをしているので、いる人といない人がいて、もう吹き替えがあるところもあるし、ないところもあるみたいな。なので、合わせるのが大変でした。それから英語の歌詞と合わせるのも難しかったです。特に僕は(チョコレート組合の)3人組との掛け合いがあったので、3人組の中に1人で入っていくのは結構大変でした。

松尾 あんまり演技をやり過ぎるといけないというのがあったので、自分は淡々とやっている感じがありました。

-完成作はどんな印象でしたか。

松平 すてきな夢がいっぱいあって、本当に楽しいファンタジーだなと思いました。仲間たちとの友情もいいですよね。

-ご自身の吹き替えを聞いて、どんな感じでしたか?

松平 何とかやってるな、みたいな感じですか。でも、ウンパルンパは、話の中のポイント、ポイントを占めているなと思いました。

松尾 すごくすてきな世界観で、お話も面白くて、このメンバーの中に自分が入っているんだという実感がすごかったです。光栄でした。楽しみました。面白かったです。

長田 まだ完全吹替版しか見ていないので、字幕版と見比べてみたいというのもありますね。吹き替えのクオリティーも本当にすごいので、ぜひ、2つを聞き比べてもらいたいなと思います。

-主人公のウォンカを演じたティモシー・シャラメは今大人気ですが、どんな印象ですか。

松平 すごく爽やかで、歌もうまいし、いいですねえ。

松尾 すごくエネルギーあって、何かシンパシーを感じますね。僕には和製ティモシーみたいな感じがあるのかなと。

長田 どこがや(笑)。

-最後に、映画の見どころと、これから見る観客に一言お願いします。

松平 歌も踊りもあって、いろいろな魅力がたくさんあるんですけど、色彩もすごくきれいなので、この映画を見て、皆さんもぜひ夢を見てほしいです。

松尾 本当に楽しい映画なので、家族や、恋人や、大切な人と見て、すてきなクリスマスを過ごしてほしいです。真面目に言っています。ずっと真面目に答えています。メリークリスマスって感じです(笑)。

長田 ミュージカルと映像美とお芝居のクオリティーとキャラクターがうまくまとまった作品だと思います。誰でも楽しめる作品になっているので、家族、恋人、友達と一緒に見てほしいですね。もちろん1人で見ても楽しいです。

(取材・文・写真/田中雄二)