「ひとり時間」で意識したいこと
「後回し」にしていた楽しみを持ってくる
気になるけれど見る時間がないままのドラマや映画、読みたいと思うけれど買いに行くのが億劫だった小説や漫画など、「後回しにしている楽しみ」はないでしょうか。
時間に追われるとどうしても目の前のことをこなすので精一杯になりますが、それがない休日は、自分だけで完結する楽しみに没頭すると気分がリフレッシュできます。
楽しみたいと思っているものをそのままにしておくことにもストレスはあり、気になっていたものを「ちゃんと受け止めてみる」のも、新しい感動や別の価値観を知る大切な機会です。
筆者の友人で手帳好きなある女性は、「来年使おうと思って買ったまま開封していなかった手帳を開いて準備する」時間を作り、それができたことで「心に引っかかっていたものが一つ解決できてスッキリした」と話していました。
それをする気があるのに置いたままになっているものは、「やっていないこと」で焦りが消えません。
ひとりだからこそ集中できる時間は、後回しにしていた楽しみに心を浸すのに最適です。
普段と違う「体の使い方」
これも筆者の友人ですが、「休日に部屋の模様替えをする」のを楽しむ人もいます。
「目にする景色に飽きてくると気分が上がらない」ため定期的に模様替えをするそうで、テレビやソファの位置から変えるので意外と重労働で、それが頭をスッキリさせるといいます。
普段と違う体の使い方は、それが自分のためなら、疲れるけれど充実感があるのですね。
時間がかかるため会社と家の往復が中心の平日にはなかなかできないことで、「隙間時間に家具のレイアウトを考えるのもいい息抜き」と話すのは、実行する休日に向けてやる気を育てるような楽しみがあると感じました。
家具の移動のような大きな作業ではなくても、玄関のディスプレイを変えてみたりいつもはする気の起こらない箇所の掃除をしてみたり、過ごす環境を整える時間はその後の気分を穏やかにしてくれます。
家のなかでなくても、いつもは歩かない近所を散策する、ウェアを着てウォーキングに出るなど、目にする景色を変える体の使い方はリフレッシュに向いています。
意識して体を動かすことは、運動不足の解消にもつながりますよね。
一方で、普段は忙しいからこそ休日はゆっくりと横になって過ごす、「動かない日」にするのも自分をいたわる時間。
疲れていると実感できるときは、手足を投げ出してリラックスする、あたたかい飲み物を楽しむ穏やかさも、次の日から動く体力を取り戻してくれます。
新しい楽しみを見つける
文章を作ったり絵を描いたり、写真を撮ったりするのが楽しいという人は、ひとり時間にもっと突き詰めてみるのもおすすめです。
小説を書いてみる、撮った写真をアルバムにするなど、「好き」をさらに深くする時間は心に良い刺激を与えてくれます。
SNSを開けば同じ趣味の人はたくさんいて、自分とは別の「好き」を楽しんでいる人を知ることができるのも、現代の良さだなと感じます。
料理であれ陶芸であれ、自分の作ったものを愛する姿勢は「新しい楽しみ」を見つける目を養います。
どんな分野でも表現にはいろいろなやり方があり、より自分に合ったもの、自分の気持ちを伝えられる手段を知ると、「好き」がさらに大きくなりますよね。
集中するには邪魔されない環境が必要で、ひとり時間こそ自分の「好き」と向き合う貴重な機会です。
やってはいけないのは自分の実力と他人をむやみに比較することで、誰かを置いて自分の価値を考えるのではなく、それ自体を楽しむ気持ちを忘れないこと。
好きで続けているものは、人の目に触れる機会があればそれが新しい出会いを呼ぶこともあります。
ひとり時間は、これまでの趣味や好きなものをさらに充実させるだけでなく、新しい世界を知るきっかけとして考えると、孤独とはまったく違う過ごし方ができます。
心が自立しているからひとりで過ごせる
「ひとりで過ごすことで周りに寂しい人と思われそうで怖い」と話す人がいますが、「ひとり=寂しい人」と安易に決めつける人は他人の存在も軽く見ている、と筆者は感じます。
「誰かと一緒に過ごせる自分にこそ価値がある」と思ってしまうと、自分の満足のために他人を利用するのが当たり前になり、また自分も等しく「他人の寂しさを紛らわせるための道具」となっても文句が言えません。
自立した心があれば「ひとりの時間でも充実を実感できる」ことに自信を持てるため、人との関わりに無理がなくなります。
「寂しい人と思われたくないから誰かとの約束が常に必要な人」が孤独なのであり、自分の在り方に安心するために他人が必要となるのは、いつまで経っても自分の足では立てないことと同じです。
「孤独」とは他人との共存を拒否して常にひとりぼっちで生きていくことであり、周囲から取り残されるような暗さが付きまといます。
心が自立しているからひとりで過ごせる人とは、他人と交わることを忘れず「次」のエネルギーをしっかりと蓄えている状態です。
寂しさは他人と関わらないことで生まれますが、「ひとりだから寂しいとはならない」ことを、忘れてはいけません。
「ひとりでいること」への不安は、他人と過ごせないことではなく「その時間でいかに自分を慈しめるか」で解決できます。
そして、自分を大切にできるからこそ他人とも楽しく過ごせるのがコミュニケーションの本質であり、ひとり時間の充実が孤独を遠ざけることを、意識したいですね。