原田泰造が主演するドラマ「おっさんのパンツがなんだっていいじゃないか!」(通称『おっパン』)が毎週土曜23時40分から東海テレビ・フジテレビ系で放送中だ。同名漫画が原作の本作は、家族からも嫌がられる古い価値観を持ったカタブツの「おっさん」(=沖田誠)が、あるゲイの青年との出会いにより、これまでの「自分の常識」をアップデートしていくハートフルなホームコメディー。主人公の沖田誠役を演じる原田が、本作のタイトルを聞いたときの印象やドラマの見どころ、現代の若者について感じていることなどを語ってくれた。
ー本作はユニークでインパクトがあるタイトルですが、最初にオファーを受けたときのお気持ちはいかがでしたか。
最初はおっさんのパンツの話なの!? と思いましたが、原作を読んだらあまりそこは関係がなくて。主人公の沖田誠が家庭や会社で少しずつ自分の存在というものを見つめ直すところに感銘して、これは絶対に自分がやりたいなと思いました。作品名が長くて覚えるのが大変だなと思いましたが、略して「おっパン」と言えるのがすごくいいなと思いました。
ー本作の実写化が発表された際は、SNS上で「原田さんは実写化にぴったり」という声が多く上がっていました。周囲の方から反響はありましたか。
僕の方には沖田誠に「合っている」という声もたくさんありましたし、「意外だね」という声もありました。僕はこの作品を読んでやりたいと思ったので、合っていると言われたらうれしいですし、「意外だね」と言われたら「そうでしょう」とも言いたい。原作がある作品をやるというのは変な気分ですが、うれしいですね。ドラマを見た後の感想を皆さんから聞くのも楽しみです。
ー沖田誠という役柄について、どのように感じていますか。
最初に台本を読んだときは、こんな古いオジさんいるな、自分より全然遅れているなと思ったのですが、回を追うごとに沖田誠がどんどん柔軟にアップデートしていくので、いつの日か自分は彼よりも遅れているんじゃないかと思うようになりました。僕も自分のダメなところを素直に見つめ直して頑張らないといけないなと思います。
ー沖田誠という役柄は昭和生まれの偏った考えの男性ですが、演じる上で共感したり、気付かされたことはありますか。
たくさんあります。LGBTQの問題や同人誌を売っているコミケの世界など、いろいろなものが沖田誠の脳みそに入ってきて、何でも知りたいなと興味を持っていくのですが、その柔軟さは僕には全くないので、すごいなと思いますし、自分が今どれだけいろいろなものに興味を示さなくなったのかということを、まず知ることが大事だと思いました。何に興味を示そうか、興味を持っている人たちの何を理解しようとか、そういうことを考えながら台本と向き合っています。沖田誠と僕は同世代なので、いろいろなものを感じながらやっています。
ー役柄を演じる上で、大事にしていることはありますか。
沖田誠は「趣味が家族」というくらい家族が好きで大事にしていながらも、その気持ちが家族に伝わらないところがあるのですが、何のためにこの人はいるんだろう? と考えると、やはり重きを置いているのが家族なので、家族のために頑張っているというのをいつも心に置いて演じています。
ー撮影現場の雰囲気はいかがですか。
撮影のスピードが本当に早いです。各分野のプロが集まっていて次から次へと進んでいくので集中しやすい環境ですし、本当に楽しいです。「おっパン」の世界の中にいる感じでやらせていただいています。
ー沖田誠は家族が大好きでありながらも空回りしてしまうキャラですが、原田さんご自身はご家族とどのように接していますか。
僕は結構自分の部屋にいることが多くて、家族に「大事だよ」とか「どこかに行こう」「よし、みんなで頑張ろう」とか言えるタイプのお父さんではないので、そういうお父さんがうらやましいです。わが家は、その日にあったことを奥さんにそれぞれが話して、僕は奥さんから教えてもらうことが多いので、アップデートしなきゃいけないのは僕なのかな(笑)。
ー原田さんがご家族に喜んでもらえたなと思う家族サービスがあれば教えてください。
うちは息子も娘ももう大きいので、家族サービスというと、旅行のときに荷物を持ってあげることくらいしか自分では思い付かないなあ …(笑)。「サウナに行こう」と誘うと付き合ってくれるので一緒に通ったりしています。
ー原田さんが若者だった時代と現代では価値観の変化を感じる場面があるかと思いますが、原田さん自身は現代の若者に対して、どんな印象をお持ちですか。
「今の若い奴らは…」みたいなことって、どの時代もずっと言われていると思いますが、僕から見ると今の若い奴らはすごいなと感心する方が多いですね。すごく落ち着いていて達観していて大人に見えます。後輩芸人も一緒にドラマに出ている俳優さんもそうですし、自分の若い頃と比べると、みんなかなり上にいるような感じがします。健(堀内)もすごく子どもでしたし、僕も中2くらいからあまり変わってないなと思います(笑)。
ー最後に視聴者にメッセージをお願いします。
僕と同世代の方はもちろん、どの世代の方が見ても刺さるドラマになっていると思います。人が変わろうとして努力する姿というのは心を打つものがあるので、ああじゃない、こうじゃないと言いながら見てもらえたらいいなと思います。
ドラマは毎週土曜日23時40分~東海テレビ・フジテレビ系で放送中。
(取材・文/小宮山あきの)