わざわざ言うのを憚られる、でも人間の真理をついた言葉の数々

ウルフルズを語るときに、外せないのが『ガッツだぜ!!』という大ヒットソング。この曲は90年代中盤の閉塞感と合わせてヒットした語られる事がある。確かにそういう分析もできるかもしれないが、ウルフルズというのは「売れるべくして売れた」バンドだと思う。

デビューの『やぶれかぶれ』から最新曲『どうでもよすぎ』まで、ほとんどの曲が「わざわざ言うのを憚られる、でも人間の真理をついたもの」「普通だと耳を傾けたくないような耳の痛い言葉」を、先ほど言及した3枚目感、決して上から目線にならず、近所の気のいい兄ちゃんの話を聞いているような感覚、そんな彼らなりの味付けで聴き心地のいいものにしている。だからどの時代であってもウルフルズという存在は輝いていたんじゃないだろうか。

それを顕著に思うのはライブで『いい女』を披露する時の、一度ステージからハケたトータスを他のメンバーと観客で呼び戻す演出。ジェームス・ブラウンリスペクトだろうこの演出を、僕も何度かライブで見たことがあるが、名曲に、一見蛇足とも思える演出をつける事で、会場に大きな一体感を与えていた。

完璧なメロディと歌詞、完璧なボーカル、完璧な演奏に、あえてプロレスのような要素を取り入れることで、みんなが共有しやすい楽曲にしているのが、ウルフルズなのだと考える。