会場内には『光のなかに立っていてね』の『17才』がリピートされていた。銀杏BOYZとして東京で最後にライブを行ったのは2009年2月だった。峯田のソロは2010年5月、友部正人トリビュートライブだったか。とにかく、あの頃よく見た方々の顔が目に映る。「死ななければまた会える。また会いましょう」と、ライブで執拗に唱えていた峯田のMCを思い出しながら、わたしは、頭の中で『漂流教室』の歌詞をなぞってみる。
ぴあとKDDIが主催するエンタメサイト「uP!!!」のスペシャル・イベント「uP!!!SPECIAL」として開催された『GING NANG URBAN TALK LIVE TOKYO』。9年ぶりのアルバムをリリースした銀杏BOYZの、そのミュージックビデオが新宿バルト9のスクリーンで拝めるほか、なんと峯田和伸のトークも行われるという。
アルバムをリリースしながらも峯田以外のメンバー3人が脱退し、ひとりで銀杏BOYZを背負っていく峯田の生の声が、ほぼ4年ぶりに聞けるのだ。
ふと、会場内に『金輪際』が流れ出して、司会による挨拶の後、『東京終曲』と『ぽあだむ』の上映がはじまる。
「“男女がよつんばいになってる絵”と“生首を持ってケツにディルドを突っ込んでる絵”がほしかった、そのふたつをつなげたらこんなんなった」と、後のトークで峯田が発言していた『東京終曲』。
ふたりだけの愛の巣に踏み込まれてぶん殴られ、無様に命乞いをするも連れ去られ車中でケツにディルドを突っ込まれる峯田、レイプされる恵子…時にブレて時にボヤける東京の景色は、胸糞悪い悲劇と、滑稽で可笑しな喜劇と、イノセントな愛の世界を行き来するまさにノイズとカオス。そこから生まれる最後の愛の結晶がオナラだというのも、銀杏BOYZらしい美しさ。
続いて計1283人の女の子のキスをメロディに乗せた『ぽあだむ』。女の子のもっとも可愛くてもっともキラキラした瞬間だけを封じ込め、現れては消えるいくつもの生命の鮮やかさをわたしたちの前で真空パックにしていく。その煌めきが思わず涙腺を緩ませる。いずれも、バルト9の大スクリーンで観る映像体験はまた格別だ。