「歌えて本当に幸せです。うん、幸せですよ」

 

「4年歌ってない間に、好きな人ができて、別れて、斎藤正樹っていうマネージャーがいなくなって、江口くんが復帰して、チンくんがやめて、あびちゃんがやめて、石川くんが失踪して、村井くんがやめるってなって、いろんなことがありました。でも4年ぶりにこうやって人前で歌えるのは、やっぱり気持ちがいいものです。歌えて本当に幸せです。うん、幸せですよ」

言い終わるや否やギターを「ジャーン」と鳴らし、照れを隠して次の曲を奏でる。『新訳 銀河鉄道の夜』だ。リヴァーヴのせいでどこから鳴ってるのかわからないサイケデリックな浮遊感を持ちながら、永い睡眠から解放され澱みをぶち破ったような歌が、強く高く響く。「信じますか よどみ続ける愛を」という問いかけが、実存をともなって昇華されていくようだ。

 

さらに、これまで憎悪や怨念を炙り出すように演奏されてきた『人間』は、エフェクターもPAも飛び越えて歌を剥き出しにする迫力があった。途中から「戦争反対」を「原発反対」に言い換え、「原発反対って言ってりゃあいいんだろ!!」とリミッターを振り切った峯田くんの歌声に脳が真空状態になる。

「出しても出しても今日は声が出るね!」と自らを称賛し、「最後にもう1曲だけ歌わせてください、『まだ見ぬ明日に』」と告げ、「音楽が大好きで、僕と一緒にやってもいいって人で、できれば男。興味があったらぜひメンバー募集のオーディションに応募してください」と言い、自らの現状を示唆するような歌を、まるで決意表明のように、とてつもないボルテージでを歌い終えたのだった。

最後に峯田は頭を下げ、早口で自分のメールアドレスを晒した後に「峯田和伸でした~」とステージを後にした。彼の、東京での4年ぶりのライブであるとともに、新生・銀杏BOYZのはじまりの第一歩でもあっただろうこの日のイベント。峯田は、照れながら、気恥ずかしそうにしながら、男同士でいちゃいちゃしながら、何ら変わりなく、私たちに歌といういきものを届けてくれた。まだ見ぬ銀杏BOYZの明日に、わたしは、期待しか感じない。

 

 

 

 

uP!!!SPECIAL 峯田和伸インタビュー連載『Ore No Tamashiii』[https://www.up-now.jp/boyz]

 


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