それぞれの思いを刻む、千体仏の姿に圧巻
境内の案内も含めて、改めて正門からアプローチしてみよう。
普段の境内は、このような雰囲気。
「原爆犠牲者慰霊碑」があるのは、向かって左奥。その隣から続く階段の途中に、「子育て地蔵尊」が祭られている。
観音様への正式な参拝ルートは、ここから右に回り込むような形になる。
左に見えるのは「釣り鐘塔」。毎日朝6時と昼の12時につかれるのだが、「朝は、寝ている方も多いので、若干控えめにしています」と松樹さん。
左手に見えるのは20分の1サイズの木造なのだが、これが本尊ということではないそうだ。ちなみに、本尊というか本体は高さ約25メートル、横幅は約19メートル。正式名称は「白衣(びゃくえ)観音像」。
「千体仏」とは、植草等雲(うえくさとううん)という彫刻家が、戦後50年を記念して始めた活動なのだとか。
長方形の木端から削っていくこの体験講習は、毎月第1、第3月曜日の2回、材料費1200円を支払えば、予約制で参加することができる。すでに1000体を突破しているそうだが、達成の時期は覚えていないとのこと。
以上、かいつまんでレポートしてみたが、関連グッズやグルメ情報なども補足しておきたい。もうしばらく、お付き合い願おう。
大船と、大船渡を結ぶ「のんちゃん」
まずは、「はまれぽ」ならではのゆるキャラ情報。
ご登場いただきましょう、「のんちゃん」です。
「見た目は観音様ですが、大船全体のゆるキャラなんですよ」と松樹さん。
同寺では、東日本大震災で被災した岩手県大船渡市に対し、「大船」つながりを縁に、復興支援を考えていたそうだ。ところが大船渡に行ってみると、「鎌倉は知っているけど、大船ってドコ?」状態だったらしい。
そこで震災後の2012(平成24)年、観音様をモチーフとして、もっと大船を知ってもらおうと誕生したのが、この「のんちゃん」。ちなみにコンセプトは、「観音様から飛び出た妖精」。
次は、参拝記念にオススメの、こんなお土産をご紹介。
千体仏ではありません、モナカです 。
1956(昭和31)年創業、地元の和菓子店「龍月」では、オープン間もない頃から「観音最中」を製造・販売。手前に並ぶピンクと白は、大船観音寺でしか手に入らないオリジナル商品となっていて、ノーマルのものと3個入りで400円。
なお、同店店主の鎌田忠(かまたただし)さんによると、「頭から食べるのが申し訳なくて」、一時販売を中止していたそうである。しかし、地元からの強い要望があり、10年ほど前から製造を再開。今では、鎌倉商工会議所もお墨付きの「かまくら推奨品」に認定されている。
「龍月」では、単品の価格は136円。1個あたりだと、観音寺で買った方がお得。
続いてはグルメスポットのご紹介。
同じく東口の商店街に軒を構えるのが、観音様が完成した年、1960(昭和35年)創業の「観音食堂」。その10年前から続けていた鮮魚店「魚廣」の直営店だけあって、毎朝横浜中央卸市場から仕入れた新鮮な海の幸が、リーズナブルな価格で楽しめる。
「オススメは何といっても刺身、『東丼』もうまいから食べてみなよ」と、ご主人の武井福太郎(たけいふくたろう)さん。
マグロの切り身がどっさり乗った、見た目もボリューミーな逸品だ。なぜ「あづまどん」なのかたずねてみたところ、「漁師は朝が早いから、東(あづま)から昇る真っ赤な朝日を見て、連想したんじゃないの」とのこと。
さまざまな想いを感じた、平和観音のある街「大船」
沿線住民の平和と無事を祈る観音様、そして、その歴史と共に発展してきた大船。そこには、一言では語り尽くせない歴史が詰まっていた。観音様にも、親しみが湧いたのではないだろうか。
立春を過ぎると、季節はいよいよ春めいてくる。「不気味」などと言わずに、大船観音寺のさまざまな縁起や魅力に、ぜひ触れてみて欲しい。そして、松樹さんの言う「すべての方を救う慈悲の力」を感じ取ってみてはいかがだろうか。そのうち観音様が、美人に見えてくるはず。
◆大船観音寺
住所/神奈川県鎌倉市岡本1丁目5-3
拝観料/高校生以上100円、小・中学生100円
◆龍月
住所/神奈川県鎌倉市大船1-15-17
TEL/0467-46-3805
定休日/木曜不定休
営業時間/9:00~19:00
◆観音食堂
住所/神奈川県鎌倉市大船1-9-8
TEL/0467-45-1848
定休日/水曜(月に一度木曜日の連休あり)
営業時間/平日11:30~21:30、土日祝11:30~21:00
※本記事は2014年2月の「はまれぽ」記事を再掲載したものです。
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