『ウォルト・ディズニーの約束』を手がけたジョン・リー・ハンコック監督 (C)2013 Disney Enterprises. Inc

傑作映画『メリー・ポピンズ』の誕生秘話を描いた映画『ウォルト・ディズニーの約束』が21日(金・祝)から公開される。本作はタイトル通り、ウォルト・ディズニーが“登場人物”として描かれる作品だが、ジョン・リー・ハンコック監督は本作を観ると「これまでのディズニー作品をより深く楽しめるようになる」と語る。公開前に話を聞いた。

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本作は、米アカデミー賞で5部門に輝いた『メリー・ポピンズ』の製作の裏側を題材にした物語。原作者トラヴァース夫人(エマ・トンプソン)はアニメもミュージカルも大嫌いで、自作の映画化には難色をしめすが、製作者のウォルト・ディズニー(トム・ハンクス)は本作を何とかして映画化したいと奔走する。

本作でウォルト・ディズニーが初めて劇映画に登場する。ハンコック監督は「脚本に人物像がしっかりと描かれていたので僕は忠実に描くことを心がけた」と振り返るが「とは言え、ウォルト・ディズニーはあまりにも有名で象徴的な人物だから、多くの人がそれぞれのイメージを抱いているだろう。でも映画では“本当の彼の姿”を描かなければならないから責任とプレッシャーはあった」と語る。そのため監督はハンクスの参加が必須だったという。「彼をキャスティングできた時点でほとんどの問題は解決できたと思った。それにこの映画はトラヴァースの物語でもある。これがウォルトの伝記映画だったら事情は違っただろうけどね」。

映画は、ウォルトとトラヴァースの駆け引きが描かれる一方で、幼少期のトラヴァースの物語が描かれる。誰よりも父を愛する少女はなぜ、成長して『メリーポピンズ』を描くようになったのか? そしてなぜウォルト・ディズニーは頑なに映画化を嫌がる彼女を説得することができたのか? 詳しくは書けないが、映画ではふたりの幼少期の体験が重要な役割を果たしている。「ウォルトもトラヴァースも幼少期のダークな体験をポジティブなものに変えていった人物だ。皮肉なことに、ふたりとも悲惨な幼少期を過ごしたのに、子供向けのポジティブな作品を作るようになったんだ。でも、このことは映画の大事なテーマでもある。誰にだってダークな過去や悲しい体験はあるだろう。それをどのように捉えて、どう変えていくかが大事、ということだ」。

明るくて愉快なディズニー・アニメーションやディズニーランドは、ウォルトのどのような経験から生み出されたものなのか? この映画を観ることで、ディズニー作品をより深く楽しむことができるようになるだろう。「その通りだ! この映画ではウォルトを初めて“内側”から見ているような気分になると思う。彼の思想や歴史を感じられる映画だから、これまでのディズニー作品をより深く楽しめるようになるだろうし、彼の作品についての見方を変えてしまう力があるかもしれないな」

『ウォルト・ディズニーの約束』
3月21日(金・祝)ロードショー