先ほどとは違う場所の「なにかな」に狙いを定め、祈りを込めてボタンを押す。
さぁこい! 缶コーヒー以外!
ミルクティーが出たー!
祈りが通じたのか、ようやく缶コーヒー地獄から抜け出し、ミルクティーをゲット。
しかし実際に手にとってみると、このミルクティー何だか感触がおかしい。缶が所々へこんでいて表面がデコボコなのだ。
もしやこれが「凹缶」なのでは?
ここまでいろいろ試してみたが、何を押せばどんな商品が出てくるのかまったくパターンがつかめない。この自販機の謎を解明するには、買って買って買いまくるしか方法はないのかと覚悟したその時、救世主が登場した。
投げやり自販機の正体が明らかに
「何やってんの~」と明るい声で近づいてきたのは一人のおじさん。
ボタンを押しては首をかしげながら写真を撮る変な男(筆者)を不審に思い声を掛けてきたようだ。
筆者 「これこれこういう趣旨で取材に来たんですけど、真相が掴めなくて困ってるんですよ~」
おじさん「だったら中身のぞいてみるかい?」
筆者「ん? 中身?」
なんとこのおじさん、「投げやり」自販機を管理している会社の社員さんとのこと!
思わぬチャンスに「見たい見たい絶対見たい!」と興奮を隠せない筆者。
ついに禁断の扉が開かれた!
商品数が明らかに少ないことは素人目にもわかるが、詳しいところは中身を見ただけではわからない。ここぞとばかりに質問攻めをしてみることにした。
この自販機の管理を行っているのは株式会社コスモベンディングという会社。主に、横浜市内に設置された自動販売機の商品補充などの管理を行っているという。ちなみに自販機コーナーの横に事務所がある。
―何でこんなに安く売っているんですか?
「毎日いろんな所にある自販機に商品の補充をしているわけ。その中から賞味期限が迫ってきたものを回収してここで安く売っているの。もちろん過ぎちゃったものは売らないよ。あと補充の際に落としてへこんじゃったものも売っているんだよ」
―それって「凹(ぼこ)缶」のことですか?
「違う違うあれは「凹(へこ)缶」って読むの。おもしろいでしょ」
―あの手書きの紙は誰が作ったんですか?
「俺だよ。普通に安売りするだけじゃつまんないからね。遊び心ってやつだね」
なんとこのおじさん、手書きの紙を作った張本人だったのだ! いわく、自販機を設置した3年ほど前から「少しでも買う人が楽しめたら」という思いを込めて、この方式を取り入れたとのこと。
「どんなものが戻ってくるかわからないから、商品のラインナップは日によってバラバラだよ。凹缶のところに紙パックのジュースを入れちゃうことも多いしね(笑)」とおじさん。
納品する本人もどんな商品が入るかわからないのであれば、買う側がパターンを読むことなんてまず不可能。運命に身を委ね、何が出てくるかをワクワクしながら待つのが「投げやり」自販機の楽しみ方なのだ。
まとめ
主な利用者は、近くにある新羽高校の生徒たちだという。なるほど。お小遣いの少ない学生にとって何より安くかつ、友人たちとワイワイ楽しむことができるこの自販機の需要は高いだろう。
わざわざ買いに行くほどではない。ただ、もし近くを通った際にはこの自販機が持つ「投げやり感」に身を任せて、ポチっとボタンを押してみるのもいいかもしれない。
※本記事は2012年8月の「はまれぽ」記事を再掲載したものです。
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