「うちの親がまさに仮面夫婦状態で、家族で買い物に行くときなんかは近所の人に笑顔で挨拶するけど、家に戻れば口もきかず一緒に過ごすこともなく、私と兄は主に母親にくっついていたけれど、冷めた家だったなと思います。
兄が中学生のとき、友達の家に泊まりに行きたいと言うのを母が『あの子は素行が良くないからダメ』と言い、それを聞いていた父が『子の友達に対してなんてことを言うんだ』と大声をあげたのを覚えていますが、『あなたは何も知らないでしょ』と冷たく笑う母と赤い顔をして黙り込む父を見るのは胸が痛かったですね。
結局兄は泊まりに行くのを諦め、これ以降、私たちは友達のことなどを親に話すのをやめていった記憶があります。
こんな親が、外に出れば仲良く振る舞うのが信じられなくて、専門学校の進学で県外に出て社会人になった今も、結婚についていいイメージがありません。
兄は就職してすぐ当時の彼女と結婚して同じく県外に住んでいますが、実家には寄り付かず子どもの顔も見せていないそうです。
私には写真とかLINEで送ってくれてうれしいけれど、『あんな親に俺の家族を知られたくない』と言うのを聞くと、結局結婚してもこうやって実家を憎み続けないといけないのが悲しいなと思います。
奥さんに実家について何て言っているのかはわかりませんが、結婚すれば相手を巻き込むのだなと思うとそれもストレスで、私は独身でいいかなと思います。
両親とはほとんど連絡をとらないので状況はよく知らないけど、仮面夫婦って最後に子どもから見捨てられる未来しかないのではと感じます」(女性/30歳/接客業)
両親のおかしな状態を見てそれが結婚なのだと意識に刷り込まれてしまえば、希望を持てなくなるのは当たり前です。
結婚は家族を作ること、その最も身近なモデルが両親であり、子どもである自分たちがいつまでもそれに引きずられる現実は、仮面夫婦が及ぼす悪い影響だと言わざるをえません。
「最後に子どもから見捨てられる未来」、それもまた仮面夫婦のふたりが選んだ現実といえます。