メタルの王道に沿った上での“様式美”が感じられる

――僕もスタンドから眺めていましたけど、ある種“宗教的”な雰囲気がありましたね。土下座ヘドバンしている人たちがいたり、SU-METALを神、YUIMETALとMOAMETALを天使とした会場の空気が、独特でしたね。

OSA「僕は武道館が初参戦でしたけど、そういう話をまわりから聞いていたのでモッシュピットへ応募したあと、内心ビクビクしていました(笑)」

――なるほど(笑)。

FUKU「僕はアイドルが好きですけど、メタルも知人の影響から少しかじっていたりはするんですよ。メタルにも色々なジャンルがあるけど、けっこう多方面からのオマージュが加えられているんですよね」

OSA「幕張でやった“マリア像の爆破”なんて、まさしくメタリカですしね」

FUKU「メタルの王道に沿った上での、昔ながらの“様式美”が感じられますよね」

――“様式美”というのは、ベビメタを語る上での一つのキーワードかもしれませんね。

FUKU「そうだと思いますね。じつは僕の知り合いでメタルも好きで、ベビメタが好きな人が使っていたんですけどね」

――ちなみに“様式美”について、具体的にお聞かせ願えますか?

FUKU「何というか、日本での能や狂言なんかの“古典”に似ているんじゃないかと思います。美意識を目的とはしていないけど、形が整っているのが自然を美しく見えてしまうという部分ですかね」

OSA「ある程度の決まった型があって、なおかつそれにのっとっているのが“様式美”ですよね」

――ベビメタにおける“様式美”はどういった部分から感じられましたか?

FUKU「武道館公演で感じたんですけど、ふつうなら正面にステージを組んで、花道を作って終わりだと思うんですよね。でも、ステージ上に六芒星を型取った魔法陣を作って、本来なら力を注がなくてもよい部分すら魅せるというか」

――他のアイドルにはなかなかみられない?

FUKU「セットに凝っているのはありますけど、ベビメタは特に徹底している感じがありますね」
 

アイドル側からみえてきた、ベビメタの現場にみられる異質さ

――アイドルとして捉えると、ステージ作りもさることながら、コンセプトの部分でもある種“異質”な存在とも思えますね。

OSA「宗教的なイメージがありつつ、キツネ様を持ってくるというセンスもなかなかスゴイなと思いますね。本来、ベビメタのビジュアルなんかを見ると、西洋的な匂いがしますよね。でも、そこへあえて“和”をぶつけてくるというのは、この先どう辻褄をあわせるのかがかなり気になります」

――ファンの楽しみ方も他のアイドルとは異なる気がしますしね。必須ではないにしろ、アイドルの現場って“サイリウム”が常識的に使われていますが、キツネサインだけで現場を楽しめるというのが特徴にも思えます。

FUKU「許容範囲が広いんじゃないですかね。サイリウムを持っていても持っていなくても、楽しめる雰囲気はあると思います。けっこうアイドルの現場って、決まりごとがある場所も少なくないんですよね。ベビメタは比較的自由な印象もあるので、アイドルが好きな人とメタルが好きな人を、同じ空間に惹きつけられている気もします」