アイドルだけどアイドルじゃない雰囲気がある

――MAKIさんに伺いたいのですが、FUKUさんと同じくアイドルが好きな立場からみるベビメタの“アイドル像”ってどうですか?

MAKI「アイドルだけどアイドルじゃない雰囲気があるかな。いわゆる王道のアイドルとはイメージが違くて、他流試合にも挑めるのがベビメタそのものじゃないかと。だから、今はまだまだファンが広がりはじめているときかもしれませんが、今後はよりいっそう多くの人に受け入れられる気がします」

――なるほど。他流試合ですか。間口の広さからいえば、コールも他のアイドルとは違う気もしますね。

FUKU「他のアイドルにあるようなコールはあまりないですね。応援という意味ではいいけど、時折コールだらけの現場もありますしね」

MAKI「本人たちの歌が聴こえず、コールばかり目立つ場所もありますしね」

FUKU「応援という意味ではいいんですけど、あまり目立ちすぎるのもどうかなって。地下アイドルでも、MIX(「タイガー! ファイヤー!」などが続くコール)ばかりで、ノリがすべていっしょになるときもありますし」

――ベビメタの場合はコールというか、3人との“シンクロ”に近いかもしれませんね。
 

ベビメタの未来にファンが見据えるもの

――最後に、それぞれが抱く“未来のベビメタ”への思いをお伝え下さい。

OSA「あくまでもファン目線からですけど、アーティストとしての可能性を感じますね。5年後~10年後にどうなるのかすごい気になる。ベビメタは一種の通過点だと思うので、今後のさらなる成長が楽しみですね」

FUKU「今後は間違いなく“古典”として語り継がれていくアイドルだと思いますね。例えば100年後にも、その時代なりのアイドルのフォーマットはあると思うんですよ。ただ、アイドルとメタルをここまでの完成度で融合させたというのは、まちがいなく歴史に残ると思います」

――みなさまお忙しい中、ありがとうございました!
 

今回、世代や入り口の異なるファン数名でベビメタについて語り合った。本来、ベビメタを愛するという気持ちさえあればアイドルが好きとか、メタルが好きという分類は関係ないのかもしれない。しかし、ベビメタを一種の“現象”として捉える場合に、双方の意見に耳を傾けてみる必要性をどうしても感じたので実現してみた。

楽曲やパフォーマンスなど、語るべき内容はたくさんあるのだが、やはり重要だったのはライブという名の“現場”についてだった。その中でも、今回の座談会で“様式美”という言葉が浮かび上がったのは収穫だ。

座談会中にあったステージの作り方はもちろん、宗教をモチーフにしたビジュアルイメージの徹底、そして、中央に君臨するSU-METAL、同じような背丈でツインテールを備えたYUIMETALとMOAMETALという構図も、まさしく様式美のひとつといえるだろう。

日本武道館にて、メタルレジスタンス第1章の終焉を迎えたベビメタ。ヨーロッパへと飛び立つことも決まり、この先どのような成長と進化を遂げるのか、ますます目が離せない。ファン同士でまた、ライブ終わりに居酒屋で語り合いつつ見守っていきたい。

埼玉在住。編集者・ライター・デザイナーなど。制作会社から独立後、フリーランスとして出版物や印刷、Webなどに関わる。守備範囲は、アイドルやアングラ、ガジェットなど。日常すべてが取材をモットーに、寝るとき以外はネタを探すべくつねに目を光らせている。時折、夜の街もフラつく。交通費やチケット代、物販など含めれば、月に数万円使うほどアイドルが好き。30代にして、アイドルを通して“青春”を追いかけている。