「熟年離婚を決めたのは、義母が『うちはあなたがいるから老後は安心ね』と一方的に介護することを求めてきたから。
共働きで同じくフルタイムで働く夫には、『将来は体の弱い母親の介護をメインにするつもり』と数年前から伝えていました。
母子家庭でずっとがんばって私を育ててくれた母親には今も感謝しており、老後の面倒は一人娘の私がするものと当たり前に考えてきました。
母との同居を夫に提案したら『俺の母親が嫌がるだろうから』と却下され、そのときに『それでもいいけど、私が実家に行くことを制限しないでね』と約束させ、今は定期的に母に会いに行っています。
自分の親ならまず自分が面倒をみるのが当然で、それは何度も夫に言っているけれど、夫は義母の『自分の世話は息子の嫁がするもの』という意見を鵜呑みにしていたのだと思います。
義父が亡くなってから義母の要求が増えて、手が空いているときは義実家に行くけど何もしない夫には不満が溜まっていました。
それでも、夫が私の意見を完全に無視するとは考えていなくて、今まで何とか義実家との付き合いも続けてきました。
それが突然『この先自分の体が心配だから、私も一緒に住みたい』と義母が言い出し、『お前の家事の負担も減るだろうから』と受け入れようとする夫には、心底がっかりしましたね……。
同居には反対して、『あなたがお義母さんの様子を見に行けば?』と言ったら『俺にそんな時間はないし、女同士のほうが話しやすいだろう』とあっけらかんとした口調で返す夫を見て、これまで私が伝えてきたことは何だったのだろうと心底虚しくなりました。
そのうえ『夫の親は妻がお世話をするのよ』『うちはあなたがいるから』と介護を勝手にあてにされ、『申し訳ないけれど、私にも自分の親がいてそっちが優先なので』と義母にははっきり伝えています。
義母は不機嫌になり夫も『自分の都合ばかり』と私を責めるけれど、私の気持ちなどまったく受け入れない人たちのために犠牲になるつもりはありません。
離婚は決めたけれどまだ夫には切り出しておらず、今は離婚後の生活をシミュレーションして準備を進めているところです。
この様子だと義母はいずれ我が家に住みだすだろうし、そのときがタイミングかなと思っています」(52歳/総務)
年を取ると避けられないのが親の介護問題ですが、義母や義父の世話を一方的に押し付ける夫の話は多く耳にします。
こちらにも等しく親がいるのにそれを無視して自分たちの都合ばかり優先されたら、自分の存在は何なのかと虚無感を覚えますよね。
老後が近いからこそ離婚を選ぶのであって、身勝手な人たちに振り回される人生を変える決断が、自分を救います。