誰しも秘密の1つや2つは持っているものです。日常生活なら秘密を隠し通すことも可能かもしれません。

不倫の場合、例えば、メールのセキュリティを二段階認証にしたり、他の端末(パソコンやタブレットなど)への同期をオフにしたり、スマートフォンのパスコードを誕生日以外に設定したり、SNSの投稿を妻だけ見られないように設定したりするのは序の口です。

他にも、定期的に手作業でデータを消去することが重要です。例えば、ETCやドライブレコーダー、交通系ICカードや玄関の防犯カメラ、そして彼女とリモートで話した場合の録画データなどです。

しかし、日常では一見完璧な偽装工作でも、非日常ではそうはいきません。予想外の連続でボロが出ることがあります。それは一体どうしてなのでしょうか?

筆者は行政書士、ファイナンシャルプランナーとして夫婦の悩み相談に乗っているため、不倫の偽装工作にも詳しいです。今回は、「女の勘」で夫の不倫を突き止めた新田野乃花さん(38歳/仮名)のケースを紹介します。

緊急地震速報で夫のスマホ2台持ちが判明

きっかけは緊急地震速報でした。朝食中にけたたましい音が鳴り響いたので、野乃花さんと夫は思わずリビングテーブルの下に隠れ、避難の準備をしました。しかし、実際には大して揺れず、震度1でした。

野乃花さんが安堵したのも束の間、おかしなことに気付きました。夫婦はそれぞれスマホを1台ずつ持っており、緊急地震速報が鳴ったとき、お互い自分のポケットに入れていました。しかし、この音は2ヵ所ではなく、3ヵ所から聞こえてきたのです。音の出所を探ると、3台目のスマホは夫の仕事用カバンの中にありました。

つまり、夫はスマホを2台持ちしており、野乃花さんはもう1台の存在を知りませんでした。夫は「仕事用だよ」と言いますが、今まで3台目のスマホについて聞かされておらず、「おかしい」と疑ったのです。

それ以降、「何かやましいことがあるのでは?」と気にしながら過ごすようになりました。

コロナ対策で購入したマイカーで夫が不倫デート

今まで夫は電車で通勤していましたが、新型コロナウイルスの蔓延により、満員電車は感染リスクが高いということで、夫はマイカーを購入し、車で通勤するようになりました。

野乃花さんは緊急地震速報の件で夫のことを疑うようになり、夫が不在のときに車の中からETCカードを抜き取り、有料道路の履歴を確認しました。すると、通勤経路とは関係のないインターチェンジで乗り降りしていることが分かりました。

「なんでなの!」と思った野乃花さんは次にドライブレコーダーからSDカードを抜き取り、その映像を確認しました。そうすると海岸の駐車場に30分間駐車したことが分かりましたが、それだけではありません。ラブホテルの駐車場に2時間駐車したことも明らかになったのです。

普段から通勤やプライベートで車を使っている人なら、ETCやドライブレコーダーのデータを定期的に削除し、隠蔽工作を図ろうとするでしょう。しかし、夫の場合、コロナ禍という非日常で、今まで車に乗っていなかったため、そこまで手が回らなかったのです。

このことを夫に問い詰めたところ、「悪い悪い、そろそろ終わりにしようと思っていたんだ」と悪気もなく答えたそうです。野乃花さんも一度は夫の言葉を信じ、結婚生活を続けようとしましたが…。