10分経過。少し麺が減ってきたようだ。スープや水を飲むと豆腐が膨張するかのように胃がどんどん張ってくる。辛くて水を欲するが、満腹感にやられてしまうので、水をがまんして箸を動かす。
20分経過。
麺は8割程度食べきったが、まだ豆腐とスープが半分以上残っていた。
「舌と喉が痛いけど、辛さが麻痺して、わからなくなってきた」と宮城。
「20分経っても、まだスープが熱い。辛さよりも、お腹が限界」
「そんなもんでは、はまれぽ編集部はつとまりませんよ!」と激を飛ばす筆者。「1万円!1万円!」とあおるが、あきらかなペースダウン。まだ具がだいぶ残っている。
25分経過。
なんとか麺は食べ切ったが、もう豆腐とスープが入っていかない。
「なんか、もう・・・」宮城は言葉にならない気持ちを、涙目で訴える。
残り、後1分。「ほら、ラストスパート!」と声をかけるが、無言の宮城。力を振り絞り、れんげを口にするが、なかなか飲み込めない。
ここで、無常にもタイムアップ。約3kg分を残して、チャレンジ失敗。
見守っていた内田さんが、「麺は食べきったからね、がんばった方だと思いますよ」と労いの言葉をかけてくれた。
「本当ですか? ありがとうございます」と弱々しい声。面白いコメントも出てこない宮城。
チャレンジは失敗だが、せっかく作ってくれた逸品なので、せめて具だけは完食していこうと、筆者も手伝うことに。
「あーあ、せっかくのマーボー麺残しちゃって・・・。これくらい、がまんして食べてほしかったですよ!」と言って、スープを口に運ぶ筆者。だが。
「ギャー!!」
「痛さ」の後に、幾重にも「辛さ」が襲い、妙な刺激が喉から胃に流れ落ちていく。久しぶりに泣いた。
どうやら、いきなりタイのプリッキーヌを噛んでしまったようだ。
「よく、これだけ食べられたね」とすっかり宮城への態度を変え、ゆっくりとマーボーの具を口に運んでいく。確かに激辛だが、辛さの中にもコクのある旨みがしっかり主張してくるのがわかる。慣れてくると、美味しさが少しずつわかってきた。
しばらく、無言のまま豆腐とスープを口に押し込み、トータルで約50分をかけ、具は完食。
「それだけ味わってもらえれば上出来」と、内田さんの言葉に救われ、箸を置いたのだった。
こうして戦いは終わったのであった。賞金の1万円を手にするはずだったが、激辛マーボー麺代4500円を支払う。
支払い終えると「6~8月限定で、氷結ジャンボ冷やし中華もありますからね、また来てくださいね」と内田さん。
手作りの氷の器に入ったキンキンの冷やし中華は5人前の量。20分で完食すれば、食事代は無料だそうだ。チャレンジ失敗は4500円のお代をお支払いとのこと。
「では、また来ます!」
夏のリベンジを誓い、店を後にしたのであった。
取材を終えて
ただ量が多いだけでなく、辛味には内田さんの調理経験を生かした奥深さがあり、楽しみながら味わえる逸品だった。1人前の激辛マーボ麺(1100円)もあるとのことで、まずは味見をしてみてはいかがだろうか。激辛ジャンボマーボー麺にチャレンジしたら、はまれぽのコメント欄から結果を知らせていただきたい。
ー終わりー
おやじの厨房のらくろ(飲楽食朗)
所在地/川崎市川崎区桜本1-7-6
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アクセス/JR川崎駅より臨港バス「川崎大師行き」にて「桜本」下車
桜本商店街中央「パチンコ大島球殿」前
営業時間/11:30~14:00、17:30~22:30
定休日/日曜
※本記事は2014年5月の「はまれぽ」記事を再掲載したものです。