すべての音が鮮烈で、めくるめくシーンがどれも夢のように美しく、気がつくと最後のナンバー『HOPE(軽め)』になっていた。それほどまでに濃密で、だからこそあっと言う間の再現ライブだった。何より、海外の大物アーティストたちに愛されているビルボードという空間が、今の彼らにしっくりと似合っていたことは大きな収穫だった。
『Lifetime』がリリースされた15年前、まさかGRAPEVINEがこんなラグジュアリーな空間にふさわしい歌と音を鳴らすバンドになるとは、誰も想像していなかったに違いない。
AXや名古屋では再現ライブ終了後は、二部と称して新旧を織り交ぜた通常のライブが行なわれたが、ビルボードの1stステージではプレミアムな『IN A LIFETIME』ということで、アンコールとして『JIVE』『空の向こうから』『ミスフライハイ』の3曲が、2ndステージでは『熱の花』『アナザーワールド』『ミスフライハイ』『超える』の4曲が演奏された。
「ビルボードって、たぶん、僕らに合ってるんやと思う。またぜひやりたいと思いますね。”再現ライブ”はこりごりやけど(笑)」
同じくプレミアムな内容で開催されたビルボード大阪終演直後、そんな風に話していた田中。「お客さんとの距離が近くて親密な感じがした」と亀井が言うと、「2回公演も楽勝。全然疲れてないし、むしろ楽しい」と、(サポートベースの)金戸が続ける。
「年に1回ぐらいはビルボードでやれたらいいですね。ケータリングも美味しいし(笑)」(田中)
ラグジュアリーな空間で美味しいお酒や食事を楽しみながら、濃密なGRAPEVINEの演奏と歌にどっぷりと浸る。こんなスペシャルな宴が恒例になれば、最高に素敵だと思う。