真の横浜地サイダー

さて、これまで紹介した横浜の地サイダー、いずれもラベルや味に横浜の歴史や港町のイメージを反映しており、どれも魅力的なことは間違いない。ところが各販売元に問い合わせたところ、残念ながら地元・横浜の水を使用しているサイダーは存在しないのである…。記者は言いたい、地サイダーを地酒や地ビールと同列に考えれば、なぜ地元の水を使っていないのか!!!(恕)

とはいったものの、一般的に考えればそれが難しいのは十分承知している。まず衛生上の問題があるし、大量生産だし、きっと予算の問題もあるだろうし…。よし、こうなったら真の横浜地サイダーを自作するしかない!「作らぬなら 作ってみせよう 地(自)サイダー」
そんなわけで、尊敬する戦国武将を聞かれたら豊臣秀吉と即答する記者が、真の横浜地サイダー製作にチャレンジしてみることに。

調べてみると、サイダーはクエン酸、重曹、水があれば家庭で簡単に作ることができるようだ。そして問題となる水をどのように取り入れるか調査すること小一時間。なんと市内にはいくつも湧水スポットが点在していることがわかった。これを使わない手はないというわけで、市内中心部にある湧水スポットをいくつか探訪した。

日ノ出湧水

中区日ノ出町、大岡川に掛かる黄金橋付近。石のオブジェからこんこんと水が湧き出している

 

ワシン坂湧水

中区北方町、ワシン坂入口交差点付近。東屋のように屋根があり、ブロック塀に突き出たパイプから水が落ちる

 

打越の霊泉

中区打越、打越交差点付近。マンション横の石垣から湧き出しており、脇には立派な石碑が立っている

 

いずれの湧水も大正12年の関東大震災や昭和20年の横浜大空襲の際、生活用水として広く利用され、多くの市民を助けたという。現在も絶えることなく湧き出している水は、まさに横浜の水! ただし、これらの湧水、飲み水としては使えない。湧水地に立て掛けてある看板にしっかりとその旨が記してあるのだ。

ところが、打越の霊泉を容器に入れている地元のおばさまに尋ねたところ、「沸かせば飲めるわよ」との心強いコメントを頂戴した。あくまで自己責任でこちらの湧水を使うことにする。

 

 

注意書きには、周辺の都市化が進んで清浄な水質が保てなくなったと書いてある。
ペットボトルで水を持ち帰り、煮沸して使用することに。

サイダー作りに用意する材料は、クエン酸、重曹(ベーキングパウダー)、ガムシロップ、氷、水、香料(フレイバー、エッセンスなど)。ここに計量カップと計量スプーンがあれば準備完了だ。クエン酸や重曹、香料などは製菓材料店や薬局で簡単に揃う。

 

サイダーの作り方 

1、計量カップに水を加えて水の量を計る

※自宅にあった計量カップが160ml用だったため、水量はそれを目安にした・サイダーの作り方

 

2、1をコップに移したらクエン酸を入れてかき混ぜ、よく冷やす

 

3、十分冷えたら、重曹(小さじ1)を入れてかき混ぜると炭酸が発生する

※重曹は入れすぎると苦味が増すので注意

4、好みの香料とガムシロップ(適量)を加えてかき混ぜれば、自家製サイダーの出来上がり

 

ここで問題がひとつ。サイダーの味を左右する香料のセレクトだ。せっかく作る真の横浜地(自)サイダー、できるだけ横浜らしさも表現したい。

横浜市の花・バラを取り入れた「バラの香り」、ペリー来航にあやかった「文明開化の香り」、はたまた我らが横浜銀蠅の名曲「潮のかほり」なんてのもありか!? ん?、想像できるのがバラの香りくらいしかない…。

そんなわけで、とり急ぎ用意したレモン、ペパーミント、オレンジのエッセンスで試してみることにした。

1回目。
重曹を入れた時のシュワシュワっという音感に期待が高まる。香料はオーソドックスなレモンだ。だが、試飲してみると、見事に酸っぱい。クエン酸にレモンの組み合わせは酸味が二乗になるのか…。

2回目。
ガムシロップを多めに入れ、香料はペパーミント。試飲すると、スッとし過ぎてどうもクスリっぽい。ただ甘さは1回目よりもいい感じだ。

3回目。
ガムシロ多めで、オレンジエッセンスを投入し、試飲。なんとこれが一番まともな味だった。ガムシロップの甘さとオレンジの相性が良い気がする。
 

───こうしてクエン酸や重曹の量も変えながら、何回か試みる。が、ここで忘れないでほしいのは「自家製サイダーの味は市販のものに遠く及ばない」ということである。正直、横浜らしさどころではなかった…。

試すうちにだんだんお腹はタプタプになるし、気分も悪くなってくる。気付け変わりにと思い、サワーよろしく焼酎のサイダー割を作ってみるものの、自宅にあったのは芋焼酎だけという始末。とりあえずひと口飲んでみたが、さらに気分が悪くなってこの日はあえなくギブアップした。