■会期:2024年10月9日(水)~10月15日(火) 午前10時~午後7時 ■会場:大丸福岡天神店 本館6階 トピックステージ
熊本県には、豊かな自然・職人の技・人々の暮らしの知恵から生まれ育まれ、今なお暮らしのなかで使われている工芸品が多く残っています。 作り手と使い手のコミュニケーションからつくられる工芸品は、暮らしのさまざまなシーンに豊かな表情を与えてくれます。 その製造には多くの職人たちの手による熟練した技術が結集されています。 熊本が誇る逸品に出会い、触れて、この機会に是非身近に感じてください。
※各工房の作家が来場予定ではございますが、諸事情により予告なく中止・変更になる場合がございます。
蔵々窯 許斐良助
(作品一例)寸止めCUP
陶芸教室の参加者が電動ろくろを回し、せっかく成形できていたものが崩れ落ちる際の陶土が波打つような歪み。ろくろを回す緊張感の中で、意図せずに現れる歪みの美しさをカップに収めた作品です。持ちやすく軽いので、見る楽しさや美しさの中にも使いやすさを兼ね備えています。
大学で油彩画を専攻し、帰郷後、小・中学校の美術教師として勤めていた許斐さん。しかし、次第にろくろを回す魅力に取り憑かれ、陶芸の道へ進みました。「人には真似できないものを生み出したい。不思議な作品を作りたい」という思いを抱き続け、唯一無二の個性豊かな作品を作り出しています。また、器だけでなく、オブジェなどの造形物も制作。遊び心が垣間見えるユニークなものや、見る側に何かを訴えかけるような作品の数々は、陶芸の枠を越え、現代アート作品にも通じるメッセージ性を持っています。創作活動と並行して陶芸教室も開催しており、県内外から多数の陶芸愛好家が窯を訪れます。
藤本鬼瓦製作所 藤本修悟
(作品一例)龍の香炉
今年の干支にちなみ、龍をモチーフに日常使いできるようにと制作。全長18cmで、両面を型抜きして一つにつなぎ合わせるなど、完成までに1カ月ほどを要します。お香を炊くと、口や体の穴から煙が流れ出て、まるで龍の息吹のように見えます。
祖父で初代の藤本勝巳さんが1965年に創業した「藤本鬼瓦製作所」。瓦で大物の龍を制作しており、国内でも同製作所のみが持つ技術を誇ります。現在、日本に150人ほどしかいないと言われている“鬼師”。3代目の修悟さんは、日本の瓦業界が縮小する中、祖父の代から受け継がれてきた技術を伝承しながら、時代に合った瓦製品の制作を目指し、「自分ならではのアプローチの仕方で伝統工芸としての価値を上げ、多くの人に関心を持ってもらいたい」と語ります。他ジャンルのアーティストともコラボするなど、伝統工芸の枠に捉われない試みに挑戦し、「瓦業界を盛り上げていきたい」と今後の展開にも意気込みを見せています。
蓑毛㊀鍛冶屋 蓑毛勇
(作品一例)出刃包丁
両刃仕上げなので利き手に関係なく使える出刃包丁。片刃に比べ刃が強いので、魚なども骨ごとぶつ切りにできます。蓑毛㊀鍛冶屋の包丁は主に一般家庭向けですが、片刃づくりの刺身包丁や出刃包丁などはプロも使用します。また、人吉市のふるさと納税返礼品として選ぶこともできます。
250年以前に創業した「蓑毛㊀鍛冶屋」。代々、野鍛冶(包丁、農具、山林刃物など)を手掛け、勇さんで10代目を数えます。鎌は使う人の意見を取り入れながら改良を重ね数種類あるほか、手打ち包丁は切れ味の良さと丈夫さが評判です。中には、40年来の利用者が、今も研ぎ直しに来て使い続けているとか。「(包丁は)毎日使っていればそんなに錆びるものではない」と勇さん。モットーは、「見た目の美しさと遊び心のあるものづくり」です。人吉クラフトパーク石野公園では、「マイ包丁づくり鍛冶体験」も開催(予約制)しています。
宮尾刃物鍛練所 宮尾幸一
(作品一例)家庭用料理包丁
写真左から柳刃包丁210mm、薩摩包丁165mm、三徳包丁165mm。野菜や肉、魚など、全般に使用できる万能包丁。切れ味と耐久性に優れ、手入れをしながら末永く愛用することができます。包丁だけで20種類以上あり、アジ切包丁やうなぎ専用包丁なども製作しています。
宮尾幸一氏は、肥後藩の時代から続く伝統の割込自由鍛造の技法を継承し、鎌を始め、鉈(なた)、鍬(くわ)、包丁などを製作する「宮尾刃物鍛錬所」にいらっしゃいます。鋼と鉄という異なる金属を組み合わせることで切れ味と耐久性を生み、さらに独自の工程を経ることで、薄くて軽く、しかも丈夫な刃物を作り出します。用途に合わせた異形物の刃物作りを得意とし、使い手の細かい要望にも応えます。一丁一丁、火造り(軟鉄に鋼を割り込むこと)を行うなど、手間暇を掛けている分、長く使い続けられるのが特長。宮尾さんは「父が磨き上げた技術や製作に対する情熱を継承し、時代に合った新しい刃物を作っていきたい」と、日々精進を重ねています。
リブラ工房/樺山鍛治工場 樺山明
(作品一例)ステーショナリーナイフ
ロートアイアンの技術とアイデアで、伝統的な肥後守型小刀をステーショナリーナイフにアレンジ。黒打ちの肥後守(写真左端)、柄の表面に真鍮や銅を溶着させたもの(写真左から2本目、3本目)や、ステンレスにエンボス加工(写真右から1本目、2本目)を施したものなど、目にも楽しい「Libra」の刻印が映える一品です。
東京の建築設計事務所で、住宅や店舗設計を行っていた明さんは、鉄製の門扉や階段の手すりなどを発注する側でした。実家は野鍛冶の工場でしたが、「ロートアイアンは作れないだろうか?」と跡を継ぐことにします。その後海外研修の機会を得て、イタリア・オルヴィエトの工房で鍛鉄の技術を習得。2000年に樺山鍛治工場の洋鍛冶部門として「リブラ工房」を設立しました。伝統的な刃物製作と並行し、フェンスや門扉、看板や手すりなど、デザインスケッチから製作までを行い、日々の生活を面白く、豊かにするような作品作りを心掛けています。
古川工房 林田正晴
(作品一例)茶筒と湯呑み
“長寿の木”といわれる桑は割れにも強く、お椀やお箸、湯呑みなどに最適です。気密性と精度が求められる茶筒は、挽物師の腕の見せ所。蓋と本体の木目がきれいに繋がります。食器などは、特に持った時の重さや口当たりの良さに気を付けて製作。
「人吉挽物との出会いは、妻との結婚でした」。元々手仕事が好きで、「会社勤めよりものづくりの方が向いている」と感じていた林田さんは、義父である師匠に弟子入りしました。挽物は、木の年輪を引き出すのが特徴。銘木を見分け、美しい年輪を探し当てることを意識しています。主にケヤキを使用するほか、今では入手が難しくなった桑、黒柿、楓などのストックもあります。「口にするものなら口当たりの良さ、無垢材の使い心地の良さをアピールしていきたい」と林田さん。職人同士の情報交換やコラボレーションも活発に行い、クラフトパーク石野公園内の工房にて実演製作&販売を行っています。
魚返豊州堂 魚返倫央
(作品一例)屏風
印象派の画家ベルト・モリゾの『トイレの女』を二曲屏風に。著作権が消滅したパブリックドメインの名画などを、大型プリンターでプリントした見本です。使用する越前和紙は精細な奥行きが出ます。手軽に持ち運びができる伝統的な屏風を、現代の生活空間に取り入れやすくするアイデアです。
掛け軸や屏風、襖や書画などの表装、修復を手掛ける魚返豊洲堂の4代目・魚返倫央さん。今なお徒弟制度が残る東京表具で修行を積み、卓越した技術と幅広い知識を身に付けました。人吉に戻ってからも、仕事の傍ら全国技能グランプリに熊本県代表として出場を重ね、2007年には4位入賞を果たしました。「再生可能なものづくりこそ日本の伝統文化」と考える魚返さん。何百年も使われてきた伝統的な糊を使うのもその一つ。「私の仕事は、次の世代に引き継ぐバトンを預かっているだけ。そのために技術を常に更新してゆくのが指物師の役目です」と未来を見据えます。
きのアート工房 きのしたようこ
(作品一例)ブローチとネクタイピン
郷土に伝わる伝承や物語、生き物などで熊本らしさを表現。根子岳にまつわる民話に着想を得て制作したブローチと、阿蘇五岳の涅槃像を描いたネクタイピンは、いずれも地金にどっしりと厚みを持たせているのが特徴で、さりげなさの中でも存在感が際立ちます。
きのしたようこ氏は子どもの頃から絵が好きで、美大を卒業後、高校で美術講師などを務めていたきのしたさん。キャンバスと同じように、地金に絵を描く感覚で始めた彫金の技法の一つとして、熊本県伝統工芸館主催の後継者養成事業に応募したのが肥後象がんとの出会いです。「伝統工芸としての技術は継承しながらオリジナリティのあるものを作りたいので、日本的なモチーフを題材に選びます」と、古くから伝わる伝承や民話、縁起物に着想を得た作品を制作。工房には外国からの旅行者や留学生なども訪れ、制作体験などを通して象がんの魅力に触れています。
山鹿灯籠の作家 坂本ゆかり
(作品一例)山鹿灯籠
木や金具は一切使わず和紙と少量の糊だけで立体的に組み上げます。 曲線部分はのりしろが無く和紙の厚みだけで貼り合わせる。
和紙の原材料である楮の栽培及び紙漉きも全盛期であった江戸時代、山鹿の繁栄を支えた「旦那衆」とよばれる実業家によって和紙工芸による技の競り合いから和紙工芸の技術が向上。その後、藩主へのもてなしや神事の奉納品、観光資源として発展しました。その結果、現在の高度な技術を要する和紙工芸「山鹿灯籠」が確立したといわれています。「製作モチーフになるものは、実際に足を運び、リアルで感じたことを作品に込めること。そして作品を見た方が見て喜んでくれること。それがやりがい。」と語るゆかりさん。600年続く、地域の方々が奉納する奉納灯籠だからこそ、灯籠師は地域や観光客が喜ぶ作品をと、愛情豊かに日々製作しています。
水俣浮浪雲工房 金刺潤平
(作品一例)Bolsa MINAMATA
楮(こうぞ)の皮を平織りしてから叩き、樹皮の美しい表情を紙に仕上げた“織紙”(写真下部の紙が「織紙」)を生かし、水俣でリメイクやアップサイクル製品を作る作家とコラボしたショルダーバッグ。縫製がしやすいよう、コンニャク糊で強度を上げるなど試行錯誤を繰り返し、作り出されたものです。
金刺さんは、妻・宏子さんと共に和綿や藍、楮(こうぞ)といった、作品作りに欠かせない素材から自分たちで栽培。それぞれの植物の魅力を引き出す作品を制作しています。「良い素材を使えば良い物ができるのは当たり前。足元に見捨てられている素材に魂を吹き込め」という、水俣病を題材にした小説を描いた作家・水上勉氏の言葉に影響を受け、竹やい草など紙漉きに不向きな素材にも挑戦しています。また、日本の紙漉きの技術を世界に広めるために、ブラジルやウズベキスタンなどへの技術普及にも尽力。「作る度に新しい発見があり、進化がある。熊本の紙文化が途絶えないよう、やり続けていく」と、夫婦共に魂のこもった作品作りを続けています。
花ござ作家 山内泰人
(作品一例)ティーマット、土瓶敷き
ランチョンマットよりひと回り小さいティーマットと土瓶敷き。色も含めた図柄は全て山内さんがデザイン・命名したもの。手前から「コーヒーブレイク」「灰カクテル」「スカイライン」と、イメージや色に合わせたバリエーションが30種類ほど揃います。
「清香園」の花ござは、八代産のイ草の中でも特に良質なものを選別し、染色、裁断を経て、昔ながらの花莚(かえん)製織機で1本1本を織り込んで作られています。福岡発祥の「掛川織」の手法で描かれる柄は、花ござ製作を始めた統括施設長の山内泰人さんが、パンチカードと呼ばれる道具を使ってプログラムしたもの。ラインナップは、敷きござや寝ござ、コースターなど全7種類。それぞれに30種類ほどが選べます。施設利用者のうち、集中した作業を得意とする10人ほどのイ草班が、ひとつひとつ手仕事で選別や端結びの工程を担い、丁寧に仕上げています。
※大丸福岡天神店は株式会社大丸松坂屋百貨店のグループ会社です。
アクセス:
西鉄電車「福岡(天神)駅」
西鉄バス「天神大丸前」
西鉄バス「西鉄バスターミナル前」
地下鉄七隈線「天神南駅」
住所:810-8717 福岡市中央区天神1-4-1 大丸福岡天神店
TEL:092-712-8181(代表)
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