【家電コンサルのお得な話・212】建築物省エネ法は、住宅や建物の省エネ基準を義務化し、エネルギー消費量の削減を図ることを目的としている。この法律は2022年に改正され、段階的に施行されることになっている。例えば、25年4月以降に着工する原則すべての住宅・建築物に省エネ基準適合が義務付けられることが挙げられる。この改正に伴って享受できる消費者のさまざまなメリットをまとめた。
省エネ基準を満たす住宅で「光熱費を削減」
消費者にとっての大きな利点は光熱費の削減である。省エネ基準を満たす建物は断熱性や気密性が高いため、冷暖房効率が向上し、エアコンや暖房機器の使用頻度を抑えられる。
その結果、年間を通じて光熱費を節約できる。長期的に見れば、初期投資を回収しやすくなり、家計の負担を軽減できるだろう。
また、省エネ住宅を導入する際には、国や自治体が提供するさまざまな補助金や助成金を活用できる。例えば子育て世帯によるZEH水準の住宅購入への支援や、ZEH、ZEH+、ZEH-Mなどの省エネ性能に応じた補助金が設けられている。
これらの支援制度は、住宅の購入にかかる初期費用の負担を軽減し、省エネ住宅の導入をしやすくしていると言えるだろう。
「ZEH水準の住宅」の住宅ローン減税控除は318.5万円
さらに、住宅ローン減税などの税制優遇も見逃せない。例えば、省エネ基準適合住宅の場合、住宅ローン減税の控除限度額が通常よりも引き上げられ最大273万円、また、ZEH水準の住宅では318.5万円、認定長期優良住宅や認定低炭素住宅では最大409.5万円まで控除されることがある。
このほか、24年4月からスタートしている省エネ性能表示制度にも注目したい。この制度により、「事業者は新築建築物の販売・賃貸の広告等において、省エネ性能の表示ラベルを表示することが必要」となった。消費者は住宅や建物を選ぶ際に省エネ性能を簡単に把握でき、各建物を比較しやすくなっている。
これにより、性能の優れた住宅を選びやすくなり、消費者の省エネ意識が高まることが期待される。
建築物省エネ法の改正は、消費者にとって経済的なメリットを提供するだけでなく、環境負荷の軽減にも貢献している。補助金や税制優遇を上手に活用しながら、より快適で持続可能な生活を実現していただければと思う。(堀田経営コンサルタント事務所・堀田泰希)
堀田泰希
1962年生まれ。大手家電量販企業に幹部職として勤務。2007年11月、堀田経営コンサルティング事務所を個人創業。大手家電メーカー、専門メーカー、家電量販企業で実施している社内研修はその実戦的内容から評価が高い。