西日本エリア初の取り組み
【家電コンサルのお得な話・285】 2026年3月1日から、滋賀県を走る近江鉄道で「小児IC運賃10円」という新しい運賃制度が始まる。全国で相互利用可能な交通系ICカード「ICOCA」の導入にあわせ、近江鉄道全線において、「こどもICOCA」などのこども用交通系ICカードを利用した場合、運賃が1乗車10円となる仕組みである。
西日本エリア初の取り組み
「こどもICOCA」は本人のみ利用可能な記名式の交通系ICカードであり、12歳となる年度の3月31日まで、対応する自動改札機を利用すると大人の半額の小児運賃が自動的に適用される。通常のICOCAやSuicaなどと同じく、改札を通るたびに切符を購入する必要がなく、運賃を意識せずに鉄道を利用できる点がメリットだ。
3月1日以降、「こども用ICOCA」などのこども用交通系ICカードの利用を前提として、小学生は乗車距離にかかわらず近江鉄道線は1乗車あたり10円の一律料金が適用されるため(西日本エリア初)、1駅や2駅の移動でも運賃がかかっていた従来と比べ、交通費の負担感は大きく変わる。この施策の結果、近江鉄道内での短距離移動において、親子で電車を利用する場面が増える可能性がある。
こういった小児IC運賃の格安化は、近江鉄道だけでなく、関西エリアでは神戸高速線や泉北線など、関東エリアでは小田急電鉄、京急電鉄、京王電鉄などでも導入例がある。近江鉄道と同じ西武グループの西武鉄道は3月14日に開始予定だ。
近江鉄道の今春のサービス改定のメインは、関西エリアで広く普及する「ICOCAサービス」の導入にあり、1乗車10円という小児運賃均一料金化・低廉化(格安化)の仕組みを導入した「目的」は明示されていない。ただ、中身を見れば、ICカードで自動精算することで運賃の確認や切符の購入といった手間を減らし、親子の出かける際の移動手段を電車に切り替えてもらうための取り組みだと読み取れる。派手さはないが、使う側の視点に立った、移動をよりシンプルにする制度である。
一方、こうした子育て世帯をターゲットにした施策には、本来は支払うべき金銭負担の感覚がなくなるという課題もある。この場合、電車を利用してもお金を払っているという感覚がどうしても薄れがちになる。親としては、便利さ・お得さの裏側にある仕組みと移動が金銭と交換されているという事実、すなわちお金の有難さを日常の中でどう伝え、教育するかが課題になるだろう。(堀田経営コンサルタント事務所・堀田泰希)
堀田泰希
1962年生まれ。大手家電量販企業に幹部職として勤務。2007年11月、堀田経営コンサルティング事務所 堀田泰希を個人創業。大手家電メーカー、専門メーカー、家電量販企業で実施している社内研修はその実践的内容から評価が高い。







