11月1日に道交法が改正(警視庁のホームページ)

【家電コンサルのお得な話・215】自転車は手軽に使える交通手段で免許も不要なため、多くの人の日常に身近な存在だ。しかし、その手軽さゆえに交通ルールを軽視する傾向があるのも事実。11月1日から「酒気帯び運転」は最大3年以下の懲役、50万円以下の罰金、スマホの「ながら運転」は最大1年以下の懲役、30万円以下の罰金が科される。

スマホの画面をみたり、通話しながらの運転は罰則

2024年11月1日から道路交通法が改正され、自転車の「運転中のながらスマホ」と「酒気帯び運転」を中心に新たな罰則が施行される。日常で身近な移動手段の自転車だが、一方で自転車に関係する事故は増加しており、これに歯止めをかけるのが目的である。

まず「ながらスマホ」では、スマートフォンや携帯電話を手に持ちながら自転車を運転する行為は、これまで以上に厳しく取り締まられる。

特に運転中にスマホの画面を注視したり、通話したりする行為は、新たに罰則の対象となり、違反者は6カ月以下の懲役または10万円以下の罰金に、交通の危険を生じさせた場合は1年以下の懲役または30万円以下の罰金が科せられる。

厳罰化により、ながらスマホの危険性が改めて強調され、自転車を運転する人の安全意識の向上が期待される。

「酒酔い」は以前からNG、今回から「酒気帯び」も対象に

次に、酒気帯び運転に関する罰則強化についてである。これまで自転車での酒酔い運転は罰則の対象だったが、酒気帯び運転は適用外だった。今回の改正により、呼気に一定以上のアルコールが含まれる状態で自転車を運転する行為も罰則の対象となる。違反者は3年以下の懲役または50万円以下の罰金が科される。

また、酒気帯び運転を助長する行為、つまり酒気帯びの人に自転車を提供した人には3年以下の懲役または50万円以下の罰金に、自転車に乗る人に飲酒を促したり、酒気帯びの人との自転車の同乗者は2年以下の懲役または30万円以下の罰金となる。

厳しい取り締まりにより、酒気帯び運転を未然に防ぎ、自転車運転における安全性が一層強化されるだろう。

なお、これらの違反はすべて「自転車運転者講習」の対象となる。講習制度とは、危険な運転行為を繰り返す運転者に対し、交通ルールの遵守を学ぶ講習の受講を義務付けるもの。講習を受けないなど制度に従わない場合、受講命令違反として5万円以下の罰金となる。

講習制度の対象となる危険行為には、信号無視や指定場所での一時停止違反、安全運転義務違反なども含まれる。今回の法改正により、自転車運転者が交通ルールを再確認し、より安全な運転を心掛けるきっかけとなることを期待したい。

自転車の利用者には今回の法改正を契機に、交通ルールをしっかり守る姿勢が求められる。「自分と他者の『命と人生』を守るもの」と前向きに捉え、古来より日本に根付いてきた「心配り」を大切にすることだと言えるだろう。(堀田経営コンサルタント事務所・堀田泰希)

■Profile

堀田泰希

1962年生まれ。大手家電量販企業に幹部職として勤務。2007年11月、堀田経営コンサルティング事務所を個人創業。大手家電メーカー、専門メーカー、家電量販企業で実施している社内研修はその実戦的内容から評価が高い。