大事なのは順序 「遠くの社長より近くの先輩」
――そうして、積極的に外の世界に目を向けて行動されていますが、いろんな人と「仲良くなろう」という意識はあっても、自分から「人脈を広げよう」という思惑は…
入江:それは強くないです。自分で「広げよう」と思ってはいないけど勝手に広がった感じですね。逆に意識して「人脈を作ろう」とすると広がらないし、うさんくささが出てきちゃう。これは別の人の失敗談ですが、僕も行ったある打ち上げパーティで、(入江が間に入って呼ばれた)作家さんが良かれと思って人脈を広げようと、初対面の僕の後輩の芸人に、いきなりLINEを聞いてたんです。でも後輩たちにはそれが「入江さんの目を盗んで聞いてる」と映ったようで、戸惑ってて。これは相手との関係性を分かってない、失敗パターンですね。
――逆にそこでの「正解」は?
入江:僕の前で「入江さん、みなさんの連絡先を聞いていいですか?」と聞くなりして、後輩たちにも「入江さんにはうかがってるんですが、連絡先よろしいですか?」と間に立っている人間を通した上でやることですね。
――本の中に書かれている多くの社長との出会いでも“順序”を大切にしてますね。
入江:「遠くの社長よりも近くの先輩」と言ってます。近くの人とコミュニケーションが取れないのに遠くの人と繋がるはずがない。例えば、この本の帯は「サイバーエージェント」の藤田晋社長に書いていただいてますが、藤田さんに繋がるまでに、間に何人もの社長がいるんですよ。そこを通り越していく人間は信用されない。本にも書いてますが、その社長の側近や右腕の方と仲良くなるというのも大事です。周囲の方との関係が築ければ、自然とその方が自分をプレゼンしてくれるものなんです。
――多くの芸能人が「必ず誕生日に入江からメールが来る」と言ってますが、いまでもその習慣は…?
入江:続けてますね。0時3分に必ず自分で送ってます(※なぜ0時ちょうどでなく3分か? 理由は本書に)。いまとなっては、やらないと「あいつ、変わったな」と言われちゃうかも(笑)。
EXILEのHIROと「対談して社長論を聞きたい」
――自分でどんどんハードルを上げているようにも見えますが…正直、しんどくないですか?
入江:自然にやっていたことが、ここまで有名になったんでね(笑)。でも誕生日メールはやめたいと思ったことはないし、無理してるわけでもないですね。人に会うことは、めんどくさい気持ちもありますが、本音を言えば、すでに僕にとっては“仕事”になっているところもありますね。「キング・オブ・コント」に向けてネタを作るのと同じで、もし僕が総理大臣と仲良くなったら、それ自体が半ばネタみたいなものでしょ?
――実際、いろんな方とお会いして仲良くなって、それが「良い出会い」となる割合はどれくらいですか?
入江:10回に1回ですね。そこでガッカリするかどうかの分かれ目は、自分が無理をしてるかどうかかな? 意外と僕、神経質で相手に合わせちゃうんですが、無理して合わせているとそれが自分で分かっちゃうんです(苦笑)。
――意外と失敗経験も多い?
こないだ、すごく落ち込んだ経験があって、VERBALさんに呼ばれて「EXILE」や「E-girls」、「三代目 J Soul Brothers」が揃っているパーティに行ったんです。そこで錚々たるメンバーのカッコよさに圧倒、魅了されて、HIROさんに挨拶はしたんですが「番号教えてください」とまでは行けなかったんです、ビビっちゃって。普段は「連絡先いいですか?」と言えるんですが、その時はメンタルまで持ってかれちゃった。そうしたら、HIROさんが「ビビリ」という本を出して(笑)、「うわっ!」って思いました。でもその本で、自分はビビリの心配性だからこそやってこれたと書かれてて、僕も間違ってなかったのかな? とか、このタイミングは何なんだ? とかいろいろ考えさせられました。できればHIROさんと、本を出したこのタイミングで対談させていただきたいんですよ。そこでHIROさんの社長論を僕がインタビューして引き出したい。そのための良い機会だったんですが…ひるみました(苦笑)。今度、改めて手紙を書こうかと思ってます。