初対面で名刺を手渡してくるお笑い芸人、いや、そもそも自分の名刺を持っている芸能人自体が珍しい。コンビ名の「カラテカ」ではなく、なぜか「日本後輩協会 名誉後輩」なる肩書が記され「入江慎也」という名前と共に携帯電話の番号やメールアドレスまで書かれていて、ますます驚かされる。
横綱・白鵬、なでしこJAPANの澤穂希からマサイ族の戦士まで、世代、国籍を問わず幅広い“人脈”を持っていることが、もはや芸と言えるほどの注目を集めているカラテカの入江。つい先日、3冊目の著書であり、自身の人脈の中でも特に「社長」と呼ばれる人々とのコミュニケーションの築き方を記した「社長が落ちる接待力」(双葉社刊)を上梓した。ごく普通のサラリーマンも応用できるという、入江流コミュニケーション術の極意とは?
「おれも社長になりたい!」という思いが生み出した本
――これまで「使える!人脈力: 「友だち5000人芸人」が実践する50の習慣」「後輩力 凡人の僕が、友だち5000人になれた秘けつ」というコミュニケーションや人脈づくりに関する本を2作出していますが、今回は対象を“社長”にし、あえて間口を狭めてます。
入江:僕が出会った社長さんて、本当に魅力的な人が多くて、そういう方たちとお話させていただくことで、自分の人生が変わったと思うし、何より僕自身が「社長になりたい!」と思うようになった。同じように「社長」を目指すような人に読んでもらえたらと思いました。
――とはいえ、具体的な相手とのコミュニケーション術や、距離を縮めるための細かい手法など、社長が相手ではなくとも、普通のサラリーマンでもすぐにでも応用できる方法、教訓がたくさん記されてますね。
入江:間違いなく、直属の上司や取引先を相手にも応用できると思います。媚を売る気はないけど、「もっと仕事がほしい」「上を目指したい」という気持ちがある。でもそのための能力が僕には足りない(苦笑)。それを補うのがコミュニケーション能力なんです。当然、面白いネタを書けば仕事はもらえるけど、僕はそれが苦手。そこで違うアプローチを探したんです。だから、この本も才能があって、自分のやり方を持っている人には役に立たないかもしれないけど、「もっと上に行きたいけどどうしたらいいんだろう?」と悩んでいる人には、こういうやり方もあるという提案になると思う。仕事が得意じゃないけど好きで、上を目指したいなら、まず仕事をしやすい環境を作ったらどうですか? と。