冬になると、寒冷地に車で向かうときや現地に住んでいる人は、氷雪路面でスリップしないように車のタイヤを「冬用タイヤ」に履き替える。実は車のパーツで季節によって変更するのは、タイヤだけではない。車を動かす燃料である「ガソリン」にも、夏用と冬用があるのをご存知だろうか? 季節によるガソリンの違いについて、詳しく見ていこう。
ガソリンは季節によって切り替わっている?(画像はイメージ)
ドライバーが気づかないうちに入れ替わるガソリン
ガソリンに夏用と冬用があることを知らない人は多いが、それは普段給油をする際に「夏用」や「冬用」などとは書かれていないため。では、なぜガソリンに夏用と冬用があるのかというと、その理由は「気温の違い」にあるようだ。
夏用と冬用のガソリンは蒸気圧が違う。蒸気圧とはガソリンの揮発性を表す数値で、値が大きいほど蒸発しやすくなる。夏用と冬用でスタンド側が蒸気圧を切り替えたガソリンを販売しており、夏は上限値65kPa、冬は上限値93kPaの蒸気圧と定められている。
もし、冬に夏用のガソリンを、夏に冬用のガソリンを使用した場合はどうなるのか。蒸気圧の高い冬用のガソリンを暑い夏に使用すると、「ペーパーロック現象」が起こる可能性があり、アイドリングの不調や加速不良になるという。逆に蒸気圧の低い夏用のガソリンを冬に使用すると、始動性が悪くなる場合があるようだ。
多くのガソリンスタンドでは、季節を考慮して5月頃から夏用のガソリン、10月頃から冬のガソリンに切り替えを実施。普段から車に乗っていれば、自然と季節の切り替わりでガソリンが入れ替わることになる。
実はタイヤだけではなかった「夏用」「冬用」の切り替え。他にも季節によって切り替わっているものがあるかもしれないので、調べてみてはいかがだろうか。(フリーライター・波多野陽介)
■Profile
波多野陽介
学生時代からクイズ好きで、卒業後からフリーライターとして活動中。世の中の様々な雑学、トリビアを中心にオールジャンルの記事を手掛けている。知識量を増やすべく日々リサーチ中。