歌やダンスは出来て当たり前、アピールすべきじゃない

『ヒロインになろうか!』(2011年)

バラエティ番組で“イラドル”と呼ばれるももちですが、自嘲はしても俗っぽさがない“生まれながらのアイドル”像は当人のみならず、グループ全体に言えること。歌やダンスは出来て当たり前、努力アピールすることもなければ、あまり人気に固執することもない。

決して何もしていないのではなく、内面の必死さを見せないことで自分たちなりの美学を貫いている。言葉で説明するのではなく、ポルシェ社流に言えば「最新のBerryzが最高のBerryz」を魅せることによって証明してくれます。
 

アイドルらしからぬ貫録とヒール感

『ROCKエロティック』(2013年)

デビュー時は小学生だった彼女たちはいつのまにかハロプロ内の最年長グループ。10年の貫録と派手な出で立ちは清楚イメージといったフレッシュなアイドルとは対極なもの。個性バラバラな自由奔放さは外から見ればスタンドプレイの悪目立ちに映る場合もあります。その風格から「Berryz工房はこわい」というイメージを後輩からもネタにされることもしばし。

しかし、亜流があるからこそ本流があり、同質の中の異質がそれを引立てることもある。そのオーラ漂う“絶対倒せないようなラスボス・キャラ感”は10年という経験と実績によって生み出されたもの。可愛さとカッコよさ、時にヒール感までをも自由に行き来するオールラウンダーなんて、そうそういるもんじゃありません。
 

作られた世界観のないアイドル

『ギャグ100回分愛してください』(2005年)

プロデューサーのつんく♂氏が、完成したBerryz工房の楽曲に対し「こんな感じで指示したかなあと思う」ことがあると。それは楽曲の歌や振りのイメージがプロデューサーのイメージ通りではなく、当人たちが与えられたもの中でいかに自分たちの色を出しているということ。

と同時に意図的に作ることの出来ないグループに成長したということを表す言葉とも言えます。プロデュース想定内ではない予期せぬ科学反応が、結果として先述のジャンル無双を引き起こしています。