市川海老蔵が9月29日に都内で記者会見に出席。「市川海老蔵 シンガポール公演 古典への誘(いざな)い」と、「市川海老蔵特別公演『源氏物語』」の制作発表を行なった。
今年の11月に行なわれるシンガポール公演は、日本文化を世界に向けて発信していく舞台「JAPAN THEATER」の一環として開催。歌舞伎以外に落語や能楽の演目も予定されており、同公演終了後も世界各地で公演を計画している。同公演最初の国としてシンガポールを選んだ理由について「ヨーロッパはイタリア、ロンドン、パリと伺わせていただいているのですが、アジアでの興行というのはこれまでそれほど考えていませんでした。ただここ最近、アジアも凄く大事だなと思うようになったんです。特に私の中では、近年のシンガポールという国の力強さが印象にあって、これからどんどん伸びていくんじゃないかと思っているんですね。そこに私も便乗しようとしたのがきっかけです」と笑いを交えてコメント。公演への意気込みについては「これまで私が行なってきた海外公演は松竹さんの力を大いにお借りしての公演だったのですが、今度のシンガポール公演はスポンサー集めなど、比較的自力に近い形で開催します。この公演が、今後日本の伝統文化が海外公演に進んでいく上でひとつの新しい形になればと思っているので、力が入っています」と意欲を見せた。
また、来年2月に開催する市川海老蔵特別公演『源氏物語』は、今年の4月に京都・南座で初上演。同作は歌舞伎・オペラ・能が調和した新しい『源氏物語』として好評を博し、このたび全国での上演が決定。海老蔵は「今年4月の公演はメトロポリタンオーケストラのアンソニー・ロス・コスタンツォさんをお招きして作らせていただきましたが、今回は地方都市を回るということで、アンソニーさんではなく日本のオペラ歌手の方に歌っていただきます。日本人ならではの奥まった表現に期待しています」と話した。また、全国を周ることについては「『源氏物語』は祖父、11代目市川團十郎が人気を博した「光の君」というのを父が受け継ぎ、わたしも20歳そこそこでやらせていただいた縁のある演目。そんな『源氏物語』を、普段、歌舞伎を見に来られないような地域に住んでいる方々の所へ伺って、新しい形で見せられたらなと思っています」と語った。
なお、会見の最後に記者から病気療養中の坂東三津五郎について聞かれると「凄く心配です。この前、納涼歌舞伎の時にお会いした時は元気そうだったんですが・・・。中村勘三郎さんに父(十二代目市川團十郎)という大きな柱を亡くした中、三津五郎さんは次の世代の柱なんです。元気になってもらわないと、歌舞伎界にとって困ります」と話した。
「市川海老蔵 シンガポール公演 古典への誘(いざな)い」は11月14日(金)から16日(日)までシンガポールのマリーナベイサンズで開催、市川海老蔵特別公演「源氏物語」は2015年2月28日(土)名古屋・愛知県芸術劇場を皮切りに全43公演が行なわれる。また「JAPAN THEATER」は10月11日(土)より東京、京都でも上演される。