「歌川国芳展図録」の表紙より。図録は2500円(税込)

 
   江戸時代の浮世絵師にして、幕末から明治の侠客の方々の背中を彩った刺青の図案人気ナンバーワン作家であり、狸が自分の巨大な金玉袋で色んな遊びをしたり、人が集まって人の顔を作ったりといった馬鹿馬鹿しくも楽しい絵を描いたりと、その面白さと才能が、今も尚多くの人を楽しませている、歌川国芳。その没後150年を記念した展覧会「没後150年 歌川国芳展」が2月12日まで、六本木ヒルズの森アーツギャラリーで行われている。その展覧会自体は、もちろん面白いのだけど、ここで浮世絵の話を延々と書くと怒られてしまうので、男臭い名品が多い中、今回の展示では、可愛らしさとおきゃんな魅力の美人画が多数揃っているとか、猫の絵でコトワザを表した初公開の絵が面白かったとか、相撲の絵や団扇絵、双六絵に傑作が多かったとか、どこが所蔵している作品かの表記がなくて残念だったとか、そんな事は語らずに本題へ。

  文房具が色々売ってたのだ。いや、最近の美術展では、確かに文房具が増えていたのだけど、それが一気に来たというか、多分、今後は、このくらいのグッズは普通に出てくるのだろうという感じがしたのだ。特に、浮世絵のような、既に版権が切れている作家の場合。そして、何だか飛ぶように売れていたのだ。もちろん、Tシャツとか湯飲みとか、iPhoneカバーとか、文房具以外のものも一杯あるのだけど、価格的に手頃というのもあって、文具関係の売れ行きが好調なように見えたのだ。
 



クリアファイルA4サイズの部分をアップにした。ちゃんと遊べる双六がそのまま印刷されている。


    まずは、クリアファイル。もう美術展のグッズとしては定番になっているクリアファイルだけれど、ここにも明らかに新しい波が来ていて、最近では見開きになっているタイプなんかも当たり前に売っている。国芳展では、通常のA4サイズのものがメインだったのだけど、上の写真のように、双六絵がそのまま印刷されていて、その気になれば、双六で遊んでしまえるものもあるのだ。しかも、このクリアファイル、裏面は透明になっていて、中の書類の確認が可能。つまり、実用とアートと遊びが、この1枚に集約されているという優れものなのだ。
 



チケットケースサイズのクリアファイル。国芳得意の猫の図案


 
中にチケットなどを収納して蓋が出来る構造。上部を透明にして中が確認出来るようになっているのが芸が細かくて良い。

  小振りのサイズでは、上の写真のように、チケットホルダーになるクリアファイルも用意されていた。これ、三つ折りになっていて、中にチケットなどが入れられるようになっているのだけれど、この構造が、浮世絵に多い3枚続きの絵にピッタリなのだ。今回初公開になった「たとゑ尽のうち」という猫がコトワザの状況を演じている三枚続きの絵を上手く使った例だと思う。通常のサイズもチケットケースサイズも、他の図案もあって選べるようになっているし、価格も350円~と、かなりお買い得。