ボールペンは3柄。上が「たとえ尽のうち」、下が「相馬の古内裏」。あと鯨が大きく描かれた「宮本武蔵の鯨退治」があったけど、人にお土産としてあげてしまった。


    お買い得といえば、ボールペンが三種類売っていたのだけど、これが驚くほどの優れもの。基本は作品の図案がペンの軸に巻いてあるという、まあ、昔からあるタイプなのだけど、珍しいのは、まずノック式でラバーグリップが付いている事。つまり、ボールペンとして実用的なのだ。スタイル自体はサンスター文具のボールペンと同じだから、もしかしたらサンスター文具のOEMなのかも知れない。で、書き味がいいのだ。粘度の低い油性インク(つまり、ジェットストリームなどと同じタイプ)を使っているようで、スイスイと気持ちよく書ける。替え芯に何が使えるかは現在調査中。



書き味の良いリフィルと、持ち心地の良いラバーグリップ付き。


  軸の図案は、デカイ骸骨でお馴染の「相馬の古内裏」、大鯨と宮本武蔵の戦いを描いた「宮本武蔵の鯨退治」、今回の目玉の一つ、猫大活躍の「たとゑ尽のうち」の三種類。どれも、作品の特長が分かりやすいトリミングをしているので、細いペン軸の中でも中々ダイナミック。迫力とディテールに優れた国芳の絵だけのことはある。そして、何度も書くけど、ラバーグリップの握り心地も、実際の書き心地も、きちんと仕事で使えるレベル。そして、価格はうろ覚えなのだけど、250円くらいだったと思う。何か、とても安かったのだ(近日中に調べてきます)。

   

 










 図案は、もう一つ、「宮本武蔵の鯨退治」があったけど、人にあげてしまった。

   










こんな風に目盛りが入っているのだ。

 
  同じく、250円くらいだったと記憶する、ちょっと新しいグッズが、定規機能付き栞。作品を縦長く印刷した薄いプラスチックの板に長さを測る目盛りを付けただけなんだけど、何だろう、この持っていて嬉しい感。作品の選定も上手くて、ボールペンに使われてた「相馬の古内裏」、「宮本武蔵の鯨退治」、「たとゑ尽のうち」と、色っぽくも可愛らしい美人が何やってんだ的図柄の「雪だるまを作る美人」、三枚の紙を縦に繋いで五重の塔の高さを表現した「吉野山合戦」の五種類。どれも細長い事に理由がある作品が選ばれているわけだ。で、とってつけたような目盛りがついて15cmまでの長さが測れる。本に挟めば栞になる。馬鹿馬鹿しいけど、絵葉書より案外使える分魅力的かもとか、そんな風にも思う。

   

 










これはシール。猫のシールは何故か広重のものも売ってた。


   他にも、猫の絵のシールとか付箋とか、メモ帳とか、もう文房具屋か、というくらいの充実ぶり。しかも、TシャツとかiPhoneカバーとか妙に高いのに、文具系は価格がまるでミュージアムショップの製品じゃないみたいにお手頃なのが嬉しい。大人のキャラクターグッズとしても、その存在が正しい感じがするのだ。まあ、シールは小さい猫が6匹に猫まんまのお膳2つで315円だから、ちょっと高いんだけど、何にせよ、楽しいグッズ売り場なのだ。マグネット製の猫パズルとか、温度で柄が変わるTシャツなんかも売ってて。残念なのは、せっかくあんだけの団扇絵を展示しといて、それを普通に団扇に仕立てた製品がなかったこと。団扇をミニチュアにしてどうするんだとか、いや、いいです…。

   

 










かつての美術館グッズといえば、この作品をルービックキューブにしたものあたりが斬新だった。


  文房具ブームというのは、まあ、色々あって実態が不明というか、あまり使いたい言葉ではないのだけれど、こういう美術展でのグッズとか見ていると、世間の関心が結構文房具に向いてるんだなとは思える。去年、みなとみらいにオープンしたカップヌードル・ミュージアムのミュージアムショップには、チキンラーメン用の割りばしをかたどった鉛筆とか、カップヌードルの形のメモ帳といった、まあ想像の範囲内のグッズはもちろん、ラミーなどの高級筆記具にロゴを刻印したものがあったりして、何故、ここでそんな本格的な文具を売るんだろうと思ったものだし、先日はサンクスで買物していたら、対象商品を買うと貰えるのがタツノコプロのキャラクター入りメモ帳だったりした。何だか、そういう時期らしいのだ。 

のうとみ・やすくに 東京小猫商会コモノ部1号、文具部3号。フリーライター、All About男のこだわりグッズガイド、懐中雑誌ぱなし編集長。夕刊フジ「オトコ小物の名品」、日経トレンディネット「聞いた、試した、すごかった! 最新ビジネスギア情報局」、Pdweb「今月の気になるプロダクト」など、モノ系の連載も多数。著書はデジタル系からモノ系、ドリンク系、書評系など幅広く出版。ラジオやテレビやトークイベントで喋ったりもするし、オリジナルグッズのプロデュースや販売もする。現在、プロのライター向け取材用ノートカバーをプロデュースし発売中