10月14日(火)、都内で新作歌舞伎「六本木歌舞伎」の製作発表が行なわれ、出演する市川海老蔵、中村獅童、脚本を務める宮藤官九郎、演出を務める三池崇史らが出席した。
同作は2015年2月3日(火)より東京・EX THEATER ROPPONGIにて上演。元禄時代を舞台に、中村獅童扮する宇宙人の悪の親玉と、市川海老蔵扮する正義の味方の対決を描く作品。
今作を製作する事になった経緯について海老蔵は「今年の1月に獅童さんと歌舞伎をする機会があったのですが、その控え室で「こんな事をしたい、あんな事をしたい」と話していて、3時間後にはやる事が決まっていました。そこから獅童さんが官九郎さんに、私が三池さんにそれぞれ電話をして、3日後には決まったという奇跡的な舞台です」と説明。内容については、生前勘三郎から海老蔵が言われていた「成田屋の家の芸は荒事なんだから、宮藤さんのような若い人と組んで、最後は地球を投げるくらいの事をして欲しい」という言葉がベースになっていると明かした。
また、歌舞伎が上演されるのは今作が初めてというEX THEATER ROPPONGIを会場に決めた理由について、獅童は「歌舞伎を上演した事がない劇場を探していた所、夜中にこの劇場をテレビで見て、すぐ決めました。実は、この劇場が出来る前、ここには僕も海老蔵くんも通っていた稽古場があったんです」と場所との縁について語った。
獅童が「後から大人計画の社長から怒られました(笑)」と明かすほど、ハードスケジュールの中、脚本を務める宮藤官九郎。海老蔵が言われた事と同じ構想を生前勘三郎から聞かされており、オファーを受けてすぐにOKしたとのこと。今作で歌舞伎は3作目だが「1作目の『大江戸りびんぐでっど』でオールド歌舞伎ファンから反発を受け(笑)、2作目のコクーン歌舞伎で、ファンの方から「そんな悪い奴じゃない」と認知された所での今作なんですが(笑)、伝統という事を意識しすぎて、萎縮しないようにしたい」と意気込みを語った。
今作が歌舞伎の演出初挑戦の三池崇史は「歌舞伎って本当に面白いんです。ただ歌舞伎を定期的に観に行こうという習慣が周りを見ても中々ない。なので歌舞伎をもっと多くの人に見ていただきたいし、今作を見に来た方を失望させないようにしたい。そのために第一に、歌舞伎役者って凄い、って事をテーマに演出してみたいと思います。期待していただいて結構です・・・と言って自分にプレッシャーをかける事にします(笑)」とコメント。
海老蔵は「最近「結婚したら丸くなった」とよく言われるのですが、もっと皆さんに「あいつ何をやるんだ」って注目を集めないといけない。そういう意味で、私も獅童さんもまだまだ甘っちょろい自分に活を入れないといけない、という想いから動き出した作品です。伝統と言うのは改革と革新。伝統は伝統で守るべきですが、改革と革新の連続が伝統であると思っています」と同作へ強い意欲を見せた。