映画作りには奇跡のような瞬間が訪れることがある

「克彦さんが自分から近づいてきてくれたから、幸一もうれしかったんでしょうね。なぜふたりが共鳴しあったのか、そういうことに理由はなくていいと思いますが、あえてあげるとしたら克彦は幸一に自分の息子を重ねていたんだと思うんです。息子にはうまく話せないことも、幸一には話せたりもして。僕自身も、思っていることを言葉にするのは苦手ですね。こういうインタビューは仕事だからなんとか話していますが、普段は自分のことを語ることって、ないかもしれない。仕事の話は好きだからたくさんしますけどね。あ、でも思いついたことをすぐ口にしてしまうので、仲のいい友だちには、話の腰を折るタイプだねってよく言われています(笑)」

『荒川アンダー ザ ブリッジ』
(C)中村光/スクウェアエニックス・AUTBパートナーズ
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『宇宙兄弟』 (C)2012「宇宙兄弟」製作委員会
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 役所広司との初共演を経て「現場では本当に林業をしている普通のおじさんにしか見えないんですよ。普通に“居る”ってことがすごいと思った」という。来年は、『宇宙兄弟』『荒川アンダー ザ ブリッジ』と人気コミックを映画化した話題作への出演が続くが、「漫画の映画化に出演するときはいつもプレッシャーがありますが、原作のことを気にしすぎてもしょうがない」と語る。
「といいつつ、どんな作品に出演するときも現場での居方には悩んでいるような気がします。これでいいんだって思えることができずに、心の中がざわざわしているんですよ」
映画作りの現場は楽しいことよりも、タフなことが多い世界なのかもしれない。けれどもずっと降り続けていた雨がやむ『キツツキと雨』のワンシーンのように、神様からのプレゼントみたいな奇跡の一瞬が存在することも確かなのだろう。
「うまくいくときもいかないときもあって、反省や後悔ばかりしているし、うまく切り替えられなくてお酒を飲んでしまうときもある。でも映画作りにはそういう一瞬があるから、やっていけるんじゃないですかね」

プロフィール

小栗 旬(Oguri Shun)
1982年、東京都生まれ。ドラマ『ごくせん』『花より男子』で人気を得て、映画『キサラギ』『クローズZERO』などの話題作に出演。蜷川幸雄演出の『カリギュラ』『ムサシ』をはじめ、舞台でも活躍している。
そのほかの出演作に『TAJOMARU』『岳─ガク─』などがある。

関連作品

キツツキと雨(ぴあ映画生活へ)
2012年2月11日(土)公開
妻に先立たれて息子とふたりで暮らす木こりの克彦。はじめて映画を監督することになった25歳の幸一。『南極料理人』の沖田修一監督が、山里での撮影の様子を通して出会ったふたりの男の絆と、映画作りの裏側を描き出す。
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荒川アンダー ザ ブリッジ THE MOVIE(ぴあ映画生活へ)
2012年2月4日(土)公開
大財閥の御曹司リクが、ある事情から荒川河川敷に住み着くことに。そこには「金星人」を名乗る謎の美少女ホームレス・ニノはじめ、個性的な住人たちか待っていた! 小栗は、着ぐるみとしか思えない姿ながら、自分はカッパだと言い張る村長役。
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宇宙兄弟(ぴあ映画生活へ)
2012年5月公開
幼い頃、ともに宇宙に憧れ、宇宙飛行士になることを誓い合った南波兄弟。兄・六太はすでにNASAの宇宙飛行士になっていた弟・日々人に奮起させられ、少年の日の夢を再び叶えようとする。累計400万部を突破するベストセラーコミックの映画化。
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ほそや・みか  情報誌の編集者を経て映画ライターに。「FRaU」「In Red」「marisol」などの女性誌を中心に、ハリウッドからアジア、日本まで幅広く映画紹介や俳優、監督のインタビューなどを担当している。好きなジャンルはラブコメディと青春映画。

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