禁煙ブームと物価高で、何かと疎外視されている感の強い”たばこ”。常に注目されるのはネガティブな意見ばかりだが、ちょっと視点を変えればポジティブな面も見えてくる。たとえばコミュニケーションの場ではたばこだけが発揮できる利点もあるというのだ。今回は、そんな喫煙してプラスになったという意見をまとめてみた。
喫煙者同士、一緒にたばこを吸う行為が、仲良くなれたり連帯感を感じさせる
禁煙ブームによって喫煙スペースが激減した昨今。喫煙者は決められたスモーキングエリアでたばこを楽しむことが多くなった。
そんななかで注目されているのが上記のコミュニケーション。たとえば会社においては、”喫煙”という同じ嗜好のもと、あらゆる世代、あらゆる部署の人々が集まる場所なので、これまでにない関係性が築けるのだ。
「喫煙者同士の一体感。類似性と、喫煙者に所属しているという感覚。これが肯定的な印象を生み、同じ喫煙者同士、仲良くやれるんじゃないかと思うようになる。測定したデータに当てはめると、そういう結果がでている」
そう語るのは集団間関係の研究をする群馬大学・社会心理学者の柿本敏克教授。
今の時代、喫煙者はマイノリティとされるので、同じ場に集まることで一体感が増し、地位や階級等の差を軽く飛び越え、お互いの距離感がぐっと縮められる傾向が強いようなのだ。
しかも、仕事の息抜きであったり、自分の嗜好を楽しむ時間でもあるため、気分も軽くなり、会話が弾むというプラスもある。
思わぬ共通点を見つけることもあり、それが仲を深め、仕事にプラスになることも多いという。実際、会社における喫煙所での特別な関係性を表す”たばこ人事”という言葉も登場したほどなのである。
余談ながら、映画ライターを生業にしている筆者も喫煙者だったころ、同じく喫煙者のハリウッドスター、キアヌ・リーブスにインタビューし、たばこを吸うシーンに関する質問のとき「やっぱりたばこは止められませんよね」と意気投合したことがある。
このとき、キアヌとの間に”仲間意識”が芽生えのは確か。彼が近しい存在になったのだ。