まず、出迎えてくれたのは、アニメ『鉄腕アトム』をイメージしたポスター。
渡部GLによると、2014(平成26)年1月から「さがみロボット産業特区」のイメージキャラクターとして起用しているのだそう。

神奈川県庁の特設ホームページも「鉄腕アトム」が!

現在は前述の11市町に加え、2014年3月に大和市が追加認定されたため、12市町で「災害対応」、「介護・医療」、「高齢者らへの生活支援」の3つのテーマで生活支援ロボットの実用化・普及を目指し、日々の研究や実験に取り組んでいる。

「さがみロボット産業特区」のイメージ(神奈川県HPより)

なぜ、このエリアなの?

この地域が特区に選ばれた理由については、JAXA(宇宙航空研究開発機構の施設が相模原市にあり、その部品を手掛けるモノづくりの技術が高い中小企業が 多いこと、県内の研究開発(R&D)人口の約半分が集中しているということに加え、2014年度中には「さがみ縦貫道路」が全面開通し、物流が広域化・迅 速化することなども挙げられる、と渡部GLはいう。

全面開通が待たれる「さがみ縦貫道路」(神奈川県HPより)

また、実証実験を行う際に「神奈川県総合リハビリテーションセンター」(厚木市)があることも大きな要因だ。

 

特区でのメリットは?

日本では少子高齢化に伴い、要介護者の増加だけでなく、介護する側の人手不足や負担増大が深刻な問題なっており、人の手以外を活用した介護サポートが求められている。

また、2011(平成23)年3月に発生した東日本大震災の教訓から、放射能の影響がある場所への立ち入りや土砂の下敷きとなった人への災害支援などに対応したロボットの利用のニーズが高まっている。

「さがみロボット産業特区」は、こうした社会を取り巻く諸問題の解決や、地域産業活性化を期待して政府が認定した経済特区だ。


この中でロボット開発を進める企業などに対しては、政府から税制や法的規制緩和、補助金など、さまざまな優遇措置がある。

「さがみロボット産業特区」のメリット(神奈川県HP)より

例えば、土砂やがれきの下敷きになった人を探索するロボットを開発するにはマイクロ波レーダーを使用するが、このレーダーは電波法の規定によって屋外使用ができない。
しかし、特区ではこの規制が緩和され、マイクロ波レーダーを使ったロボットの実験ができるようになる。

また、公道を使って車いすの実験を行うためには煩雑(はんざつ)な道路使用許可を申請しなければならず、一度の申請で期間は3日。しかし、特区では一度の申請で14日まで公道を使えるようになる。

このほか、生活支援ロボットの実用化に向けて研究開発又は実証実験などを実施する事業者が必要な資金を金融機関から借り入れる場合に、国から利子補給を受けることができる。

金利や補助金など多くのメリットがある

このほか、一つのロボット開発のために必要な技術を持った複数の会社をマッチングするなどの取り組みも行っている。