「元夫と離婚したのは50代になったばかりのときで、次男の就職が決まったタイミングでした。
元夫の浮気問題などで夫婦関係は冷めきっていて、離婚しなかったのは本当に子どものためでしたね。
私は正社員で働いているので収入があり、離婚後は実家の近くでひとり暮らしをしようと思っていました。
実家の両親は、私たちの不仲はずっと知っていても『そんなものだよ』と言うばかりでしたが、離婚を決めたと話すと『何で今さら』とびっくりしていましたね。
老後はどうするのかとかこっちを頼られても困るとか言うので、ひとり暮らしで自活していくことは伝えていました。
私の人生の問題であって、親や家族は関係ないと割り切っていたのですが、口を挟んできたのが姉です。
30代の頃に離婚してシングルマザーで子どもを育ててきた姉は、お子さんが成人して家を出てから実家に入り浸るようになっていました。
『母から聞いたけど、離婚するんだって?』と電話が来たときはびっくりして、そうだよと返したら『実家はもう私がいるから』と牽制され、ひとり暮らしをすることを話したら『お金がある人は自由でいいわね』と今度は嫌味が返ってきて、うんざりしました。
姉は以前から共働きでお金のあるうちを羨んでいて、離婚してもひとり暮らしを選択できる私を妬んでいるようで。
このときが一番ストレスで、家族であってもこんなものなのか、とすっかり関心がなくなりましたね……。
元夫は離婚には抵抗しなかったけれど財産分与で揉めて、それでも何とか別れることができたのがそれから2ヶ月後。成立しても実家の人間には何も言わず、アパートに引っ越して生活を始めました。
年を取ってからの離婚って、それまで離れていた家族との距離が近くなる機会かもと思うのですが、かえって溝が深まることもあるんですね」(50代/公務員)
熟年離婚の場合、経済力がないため仕方なく実家に戻る、というケースは多く見聞きします。
自分の家ならその選択も当然にありますが、若い頃と違い家族の事情がそれぞれ変わっていることが多く、「居場所がない」のも問題の一つ。
熟年離婚で実家に戻るときは、前もって家族の状況を把握しておくことも大切です。


























