会見より。左から、フリーデマン・フォーゲル、アリシア・アマトリアン、タマシュ・デートリッヒ、エリサ・バデネス、マチュー・ガニオ Photo Ayano Tomozawa 会見より。左から、フリーデマン・フォーゲル、アリシア・アマトリアン、タマシュ・デートリッヒ、エリサ・バデネス、マチュー・ガニオ Photo Ayano Tomozawa

ドイツの名門バレエ団、シュツットガルト・バレエ団が11月の日本公演開催を前に記者会見を行った。かつて同団のスター・ダンサーとして活躍し、この9月に芸術監督に就任するタマシュ・デートリッヒをはじめ、まさにこの日も公演日となっていた世界バレエフェティバルに参加中の同団のアリシア・アマトリアン、エリサ・バデネス、フリーデマン・フォーゲル、ゲストのパリ・オペラ座バレエ団エトワール、マチュー・ガニオが登壇、意気込みを語った。

シュツットガルト・バレエ団 チケット情報

冒頭、「芸術監督就任後初のツアー、日本で公演ができることをとても嬉しく思う」と挨拶したデートリッヒ。同団の日本公演は1973年以来、今回で何と11回目となるが、芸術監督着任を前に、カンパニーの創設者で20世紀を代表する振付家、ジョン・クランコのバレエを継承しながら、新プロジェクトにも意欲的に挑戦していく姿勢をアピールした。今回上演するのは『オネーギン』と『白鳥の湖』の2作品、いずれもクランコの代表作である。

「世界でもっともポピュラーな『白鳥の湖』と、私たちの十八番である『オネーギン』を皆さんにお見せできることに、感謝して踊りたい」と語ったのはカンパニーを代表するスター、フォーゲル。アマトリアンも、「この『白鳥の湖』の第4幕は、私の知るすべてのテクニックを駆使しないと演じることのできない、非常に美しく感動的な幕。すべてを捧げて踊ります」という。往年の大スター、ナタリア・マカロワが「これを踊らずして引退したのが残念だと話すほど、素晴らしい、クランコならではの幕」とデートリッヒも自信たっぷりだ。

いっぽうの『オネーギン』は20世紀ドラマティック・バレエの不朽の名作として知られるが、ヒロインのタチヤーナ役について、「夢見ていた役柄。細かなところまで配慮しないと踊れない、成熟した女性像、描けるかどうかチャレンジ」とバデネス。そのパートナーを務めるガニオは「(原作の)プーシキンの詩の世界を身体の動きで表現する素晴らしい作品。オネーギンは神話的ともいえる特別な役柄、もっと深めていきたい。偉大なカンパニーと共演でき、とても楽しみ」と満面の笑顔を見せた。『オネーギン』にはマリインスキー・バレエのディアナ・ヴィシニョーワも客演予定、華やかな競演が期待される。

シュツットガルト・バレエ団日本公演は11月2日(金)から4日(日)が『オネーギン』、9日(金)から11日の(日)が『白鳥の湖』、いずれも東京文化会館。チケットは発売中。

取材・文:加藤智子