「夫は、昔から何かあると正面から話し合うのを避けて、自分の気持ちだけで動くところがあり、長女を妊娠したときは切迫流産の危険で入院が決まっても私の状態などろくに聞かず、病院に言われるがまま入院の準備をするだけでした。
頼りがいのない人とショックを受けても、子どもが産まれたらさすがに変わるだろうと思っていましたが、結局は長女が自立する20年以上、家族の大事な決断の場面ではだんまりを決め込む駄目な人でしたね。
最初の妊娠で愛情が冷めてしまった私とは出産からずっとレス状態、いま思えば二人目など産まなくて本当によかったと思います。
だから、県外の専門学校を卒業した娘がそのままその地で就職先が決まったときは、『この人のことは空気と思って、これからは好きなようにしよう』と思っていました。
幸い、夫は給料を隠すようなことはせず通帳の管理もずっと私がしていたので、今までと同じように毎月いくらかを渡したら後は貯蓄に、など考えていました。
ところがある夜、突然『実家に帰るから、離婚してほしい』と言われてびっくり。
『急に、何で?』と思わず尋ねたら、市外にいる義母の体調が悪いらしく、年老いた父親だけでの看病は不安だからと、ぼそぼそ口にするのを聞いていました。
正直に言えば離婚までは考えていなかった私は、この人の方から縁を切られる自分へのショックが強く、『こんな男に用済みにされるなんて』と、自分の価値が大きく下がった気がして苦しかったです。
『何でこんな人のために離婚なんか』と腹が立って、拒否してやろうかと何度も浮かんだのですが、それならそれでおそらく夫は荷物をまとめて勝手に出ていくだろうことも想像できて、しこりを残した中途半端な状況になるんですよね……。
私の両親は同じ市内に住んでいて、思い切って相談したら『そんな無責任な人を引き止めてどうするの』と母親に言われて、これまでの結婚生活の虚しさを思い出しました。
私は契約社員で収入は夫より少ないですが、『帰ってくればいい』と言ってくれる両親の気持ちがありがたくて、やっと離婚への踏ん切りがつきました。
夫に『離婚届は自分で用意して』言ったら驚いた顔をしていましたが、そこまで私にさせるつもりだったのかと、怒りを通り越して呆れましたね……。
離婚の条件として、娘には自分の口から正しく伝えることと、財産分与にちゃんと向き合うこと、『これをせず出ていくなら弁護士に相談する』と言っています。
弁護士という言葉を聞いて夫の顔色が変わったので、事の重大さにやっと気が付いたでしょうね。
最後まで自分の勝手を通そうとする夫は、許せません。財産だって私の管理で築いたようなもので、しっかりと分けるまでは絶対に離婚はするもんかと思っています」(女性/50代/教育)
前向きなコミュニケーションがとれない配偶者と、いつからか諦めのような気持ちで夫婦関係を続けていたけれど、ある日突然離婚を言われたら、悲しみより怒りが前に出ますよね。
こちらの女性は「用済み」という言い方をしましたが、実際はもっと以前から自分のほうもとっくに夫は用済みになっており、縁が切れるタイミングが訪れただけともいえます。
切り出されたことは幸運かもしれず、悔いのない終わりを目指すのが最善。
今後の人生ついての見通しをしっかりと立て、しこりを残さず婚姻関係を解消する道を考えるのが、自分のためなのですね。
























