株式会社ロッテ(代表取締役社長執行役員:中島 英樹、以下ロッテ)は、九州大学大学院歯学研究院 竹下 徹教授らのグループとの共同研究の結果、4~5歳の健康な子どもがキシリトール配合のタブレットを4週間摂取することで、口腔内の常在微生物叢(じょうざいびせいぶつそう)(*)の構成が変化する可能性を確認しました。
(*)お口の細菌フローラ(細菌の集まり)

 本研究成果は国際科学誌「Microbiology Spectrum」に掲載されました。
 口腔微生物叢の改善は、お口だけでなく全身の健康維持にも役立つ可能性があるため、継続的なキシリトール摂取が子どもたちの健康に良い影響を与えることが期待されます。

■研究概要
 本研究では4~5歳の子ども30名(解析対象23名)を対象に以下のスケジュールで舌苔(ぜったい:舌の上の汚れ)の採取などを行いました。
- 非摂取期間(4週間): キシリトール配合のタブレットの摂取なし
- 摂取期間 (4週間): キシリトール配合のタブレット(1.0g/粒)を1日3回、噛まずに舐めて摂取
- 追跡期間 (4週間): 摂取終了後の経過観察

 取得した舌苔に含まれる微生物叢DNAを解析し、各期間中の細菌構成の変化を観察した結果、次のことが分かりました。

■研究結果
- キシリトール摂取期間の微生物叢の変化
キシリトール配合のタブレット摂取期間は非摂取期間と比較して、微生物叢の細菌構成の変化量が有意に大きいことが確認されました。

- キシリトール摂取期間の細菌構成の変化の特徴
微生物叢における各細菌種の占める割合の変化を分析したところ、キシリトール配合のタブレット摂取期間の変化には以下のような特徴がありました。

・減少した菌種:Prevotella jejuni および Leptotrichia HMT-417
・増加した菌種:Granulicatella adiacens など

Prevotella属やLeptotrichia属の菌種は、過去の研究でむし歯が多い子どもやお口の衛生状態が悪い人で優勢になっていたことが報告されています。また、G. adiacensは口腔が健康な人でより優勢になっている常在細菌種の一つとして知られています。
これらの結果は、キシリトール配合のタブレットの継続的な摂取が口腔微生物叢をより健康的な構成パターンに導くのに役立つ可能性を示唆しています。

- 細菌構成の変化の持続性
キシリトールの摂取を中止して4週間が経過した後も、変化した微生物叢の細菌構成は摂取前の状態に完全には戻っておらず、細菌構成の変化が持続していることが示唆されました。




■九州大学大学院歯学研究院 竹下 徹 教授コメント
 今回の幼児を対象とした調査でキシリトール配合のタブレットの継続的な摂取に伴うお口の常在微生物叢の構成の変化が確認されました。摂取期間後の微生物叢では摂取前と比べてGranulicatella adiacensといった口腔の健康な人で優勢になる菌種の構成比率が増加しており、健康的な構成パターンへの変化であることが示唆されます。今後、より大きな集団で詳細な解析を行っていく必要がありますが、キシリトールを摂取する習慣が子どものお口の微生物叢に良好な変化をもたらし、健康増進に寄与する可能性が示されました。



プロフィール:九州大学大学院歯学研究院 口腔保健推進学講座 口腔予防医学分野 教授
口腔常在微生物叢に関する疫学調査を通じて、その構成と口腔や全身の健康状態との関連の解明に長年にわたり取り組んできた。現在、良好な口腔微生物叢の育成する新しい口腔保健アプローチの確立を目指し研究を進めている。

<研究結果概要>

【掲載紙】
- Microbiology Spectrum. 2026 Feb 3;14(2):e0136025.
- タイトル:Effects of 4-week xylitol tablet intake on tongue microbiota composition of children: a single-arm pilot study.
(4 週間のキシリトール配合のタブレット摂取が幼児の舌苔微生物叢構成に与える影響: 単群介入パイロット研究)
- 著者:朝川 美加李、古田 美智子、朝田 慎也、安藤 智教、柳澤 達雄、由川 英二、影山 伸哉、竹下 徹


【研究背景・目的】
 キシリトール摂取は、口腔内のミュータンスレンサ球菌レベルや歯垢の酸産生を低下させるのに有効であるが(1-8)、舌苔微生物叢全体の細菌構成に及ぼす影響は不明であった。そこで、この単群介入パイロット研究では、4週間のキシリトール配合のタブレット摂取が、幼児の舌苔微生物叢構成に及ぼす影響を調査した。

【研究方法】
- 試験デザイン:単群介入研究
- 対象:4~5歳の健康な子ども30名
- 試験サンプル:キシリトール配合のタブレット(株式会社ロッテ)
- 内容:時間軸として非介入期間、介入期間、観察期間(各28日間)を設定した(下図)。介入期間
中、被験者は1日3回、キシリトール配合のタブレットを嚙まずに舐めて摂取した。非介入期間、観察期間はキシリトール配合のタブレットを摂取しなかった。各期間の前後4時点(T0, T1, T2, T3)で試料採取および口腔診査を実施した。採取した舌苔試料について細菌16S rRNA遺伝子塩基配列解析により舌苔微生物叢を調査した。




【結果・考察】
 参加した30名のうち23名を解析対象とした。介入期間中の舌苔微生物叢の変化を非介入期間と比較した結果、Aitchison distance(細菌構成の非類似度を表すパラメーター)において、介入期間は非介入期間よりも有意に大きな変化が観察された (p<0.05, Wilcoxon signed-rank test)。各細菌種の微生物叢に占める比率に関して、Prevotella jejuniおよびLeptotrichia HMT-417の介入期間の減少、およびGranulicatella adiacens およびVeillonella rogosaeの介入期間の増加は、非介入期間と比べ有意に大きかった。観察期間の前後でそれらの相対存在量に有意差は見られなかったことから、キシリトール配合のタブレット摂取の効果は、摂取中止後も4週間持続したことが示唆される。これらの結果は、キシリトール配合のタブレットの継続摂取が舌苔微生物叢構成を変えるのに役立つ可能性を示唆している。

参考文献
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4) Holgerson PL, Sjostrom I, Stecksen-Blicks C, Twetman S. 2007. Dental plaque formation and salivary mutans streptococci in schoolchildren after use of xylitol-containing chewing gum. Int J Paediatr Dent 17:79-85.
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7) Splieth CH, Alkilzy M, Schmitt J, Berndt C, Welk A. 2009. Effect of xylitol and sorbitol on plaque acidogenesis. Quintessence Int 40:279-85.
8) Topitsoglou V, Birkhed D, Larsson LA, Frostell G. 1983. Effect of chewing gums containing xylitol, sorbitol or a mixture of xylitol and sorbitol on plaque formation, pH changes and acid production in human dental plaque. Caries Res 17:369-78.


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