実証実験は、2026年4月1日から2027年3月31日までの1年間

【家電コンサルのお得な話・290】 神戸市でコミュニティバスを運行するみなと観光バスなど4社が、マイナンバーカードとクレジットカードなどの「タッチ決済」を組み合わせた敬老割引サービスの実証実験を実施する。公共交通の敬老割引にマイナンバーカードを連携させた取り組みとしては全国初という。

クレジットカードなどのタッチ決済乗車で割引を自動適用

三井住友カードが提供する公共交通向け決済ソリューション「stera transit」を利用し、同社が運行する神戸市のコミュニティバスの一部路線(3路線)を対象として実施するもので、登録は3月9日からすでに開始している。割引適用期間は4月1日から2027年3月31日までの予定。対象者は神戸市内に住所を持つ70歳以上の高齢者である。

今回の仕組みを簡単に言えば、「事前にマイナンバーカードで本人確認を行い、クレジットカードと連携しておけば、対象のコミュニティバスではそのカードをタッチするだけで敬老割引(小児料金と同額の優待料金)が適用される」ということだ。ただし、この割引サービスを利用するには、事前登録が必要となる。

まず「Q-move本人確認サービス」に会員登録を行い、Q-moveの会員情報と連携する。次に敬老割引に利用するクレジットカードなどを登録し、専用アプリをダウンロードしてマイナンバーカードを読み取ることで設定が完了する。この手続きが完了したカードをバス車内の専用端末にタッチすると、運賃が自動的に優待料金で計算される仕組みだ。なお、この敬老割引に関しては、スマートフォン(スマホ)のタッチ決済は対象外。

交通事業者にとっては、年齢確認やカード発行などの業務負担を減らすことができるほか、紙の証明書や磁気券を使用しない仕組みとなるため、公共交通のデジタル化にもつながるとされている。

ただし、どうしても気になるのが、事前登録のハードルの高さである。登録にはマイナンバーカードに加え、「タッチ決済」搭載のクレジット/デビット/プリペイドカード、スマホ、メールアドレスが必要となり、専用アプリのインストールやカード連携の設定など複数の手続きが求められる。こうした手続きが70歳以上の高齢者本人にとってどこまで可能なのかは、実際の運用を見なければ分からない。

今回の取り組みは公共交通とデジタル認証を組み合わせた新しい試みだが、利用が広がるかどうかは、登録手続きの負担を高齢者本人がどこまで受け入れられるかに左右されると考えられる。家族が登録方法を理解し、必要に応じて設定を手伝えるかどうかも、その要因の一つになりそうである。(堀田経営コンサルタント事務所・堀田泰希)

堀田泰希

1962年生まれ。大手家電量販企業に幹部職として勤務。2007年11月、堀田経営コンサルティング事務所 堀田泰希を個人創業。大手家電メーカー、専門メーカー、家電量販企業で実施している社内研修はその実践的内容から評価が高い。