コロナ禍から意外な需要も ペーパーレス時代のプリンター事情――もはやカートリッジ式じゃない!? 家電量販店で聞いてみた
ペーパーレスと言われるようになって久しいが、そのあおりを受けてきたのは、やはりプリンターではないだろうか。だが、最近はインクジェットプリンター(家庭用プリンター)にも少し変化が見られてきているようだ。ヨドバシカメラマルチメディアAkiba(東京・千代田区)で、リサーチしてみた(BCN+R 寺澤克)。
【データで見る】年々販売台数は減少中 緊急事態宣言期間と重なる大幅減少
まず、インクジェットプリンター市場の現在地について確認してみよう。全国の主要家電量販店・ネットショップから実売データを毎日集計しているPOSデータベース「BCNランキング」によると、過去10年間の販売台数は、2015年を基準とすると年々減少を続けていることが分かる。つまり10年前と比較すると、その販売台数は半分程度まで減少したわけだ。
また、2020年から2021年は、その減少幅がさらに大きくなっている。ちょうどこの期間は、新型コロナウイルス感染症の流行を受け、非常事態宣言が発令されていた時期と重なっている。テレワークが一般化したことなどにより、書類を印刷する機会が減ってしまったのが一因だと考えるのが自然だ。
【家電量販店の声】体感でも減少を実感
さて、こうした状況を踏まえ、家電量販店で話を聞いてみよう。取材に対応してくれたのは、PC周辺・サプライ専門チーム グループリーダー ソリューションプロフェッショナルの野口卓也さん。野口さんは、ヨドバシAkibaのプリンター売り場を担当している。
(以下敬称略) やはり10年前と比べると販売台数自体は落ちてきていると感じます。
年賀状ということで店頭にいらっしゃるお客さんは、最近では減ってきていますね。
コンビニに行くのが面倒! 保護者にA3プリンターが人気!?
ただ、コロナ禍の辺りからですかね。ここ5~6年ぐらいは、これまでとは違った需要も出てきているんですよ。
A3プリンターが売れています。ちょうどこんな感じの。
普通はA4プリンターが主流ではあるんですけど、これが小学生のお子さんを持つ世帯に人気なんですよ。
小学生の教科書ってB4サイズじゃないですか。宿題を紙で提出するときに、A4プリンターだと、この教科書サイズのものが印刷できない。
それで、近場のコンビニで印刷しようとすると、地域の人が同じ目的で並んでいることがあるとよく聞きます。
6年間「コンビニに行って並ぶ」か「1台買って自宅で済ます」かを天秤にかけた結果、購入されていくんでしょう。値段も4万円を切るモデルがありますから、安くそろえることもできますしね。
カートリッジ式だけじゃない ボトル注入式が登場
家庭用プリンターって、どうしてもインク代が高くなってしまいがちだったんですが、最近では、ボトル注入式というものが出てきました。
カートリッジって高いイメージがありますし、交換もちょっと面倒な部分もある。ところがこのタイプなら、インクが減ったらつぎ足すだけなんです。
ただ、本体価格はカートリッジ式と比べると高めです。印刷頻度が多い人には、このボトル注入式をおすすめしています。
液晶画面搭載モデルが多い 値上がり抑える取り組みも
また、近年の半導体の価格高騰を受け、機能をそぎ落としながら価格を維持している動きがあります。
SDカードスロットや、複数枚の印刷に便利なADF(自動原稿送り装置)が省かれています。逆に、省略傾向だったものが改めて主流になっている例もあります。
液晶画面ですね。スマートフォンとの連携などもあるので、画面はやはりあったほうが便利ですから。
何が売れている?売り場担当者が選ぶ人気モデル3選
わかりました!人気の製品はやはり価格帯が安いものが多くなっています。
エプソン「EW-M757TW/TB/TP」
ボトル注入式を採用し、低コストを実現した「EW-M757TW/TB/TP」が人気です。カラーはブラックやホワイトはおなじみかもしれませんが、珍しくアースカラーの「ピスタチオグリーン」も用意しています。
ブラザー「DCP-J529N」
ブラザー「DCP-J529N」も売れています。カートリッジ方式ですが、タッチパネル液晶や無線LANといった機能を備えたモデルになります。ADF機能のある「DCP-J929N」もラインアップしていますが、やはり安いということでADF機能を省いた「DCP-J529N」をよくご購入いただいています。
キヤノン「PIXUS XK140・XK510」
PIXUSシリーズも人気です。いずれもカートリッジ式なんですが、XK140が5色インク、XK510が6色インクになっています。実は、ボトル注入式よりも、カートリッジ式のほうが画質が良いと言われることもあるんです。XK140はオールラウンドモデルですが、XK510は高画質印刷に秀でています。写真などを印刷される方にもおすすめです。
台数落とすも、新たな需要が生まれている
以上、インクジェットプリンターの現状についてリサーチした。データの面から見ると、台数は年々落ちてきているものの、店頭でリサーチすると、最近になって新たな需要が生まれていることが分かった。そして、安価な製品が人気を集めているようだ。
※「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店・ネットショップからパソコン本体、デジタル家電などの実売データを毎日収集・集計しているPOSデータベースで、日本の店頭市場の約4割(パソコンの場合)をカバーしています。







