カンボジア教育・青年・スポーツ省と連携し、「遊びを通した学び」を支える包括的な環境づくりを通じて、幼児教育のアクセスと質の改善を目指す


公益社団法人シャンティ国際ボランティア会(所在地 東京都新宿区/会長 若林恭英/以下シャンティ)は、2026年5月からカンボジアにおいて、「テクノロジーを活用した幼児期のスキル育成プロジェクト/ Nurturing Early Skills through Technology(NEST)」を開始いたします。


■事業概要
今回開始する「テクノロジーを活用した幼児期のスキル育成プロジェクト/ Nurturing Early Skills through Technology(NEST)」事業は、2026年5月から2030年3月までの約4年間にわたり、シャンティが実施機関となり、日本社会開発基金(日本政府と世界銀行が連携して運営)から約470万ドル(約7億円)の資金提供を受けて実施されるものです。カンボジア北西部3州における60の幼稚園を対象に、デジタル技術を通じた教員支援による「遊びを通した学び」の推進を通じて、幼児教育へのアクセス及び質を改善することを目指しています。

今回の「テクノロジーを活用した幼児期のスキル育成プロジェクト」では、農村部の幼稚園を対象に、これまで継続してきた「遊びを通した学び」の実践に向けた、園舎・トイレ・手洗い場・園庭などの建設・修繕を含む環境改善、現職教員研修、保護者への啓発活動に加え、二つの新たな取り組みにも挑戦します。

1.教員支援のためのテクノロジーの活用
教育省のウェブプラットフォーム上に、教員がクラス活動で活用できるデジタル教材や指導案作成支援ツール等を開発するとともに、教員が自主的に学べる幼児教育のオンライン学習コンテンツを整備し、教員の能力開発を支援します。

2.給食プログラム
幼稚園内での朝食提供の仕組みづくりを支援し、より多くの子どもが継続的に就園できる環境づくりを目指します。

■カンボジアでの幼児教育の取り組み
シャンティ・カンボジア事務所では、2015年より継続的に幼児教育に関わるプロジェクトを複数実施しています。より多くの子どもたちが良い環境の就学前教育にアクセスできるよう、そして幼稚園での学びが発達段階に適した質の高いものになるよう取り組んできました。

これまでのすべてのプロジェクトにおいてシャンティは、教育省幼児教育局、教員養成局などカンボジア関係者と密に連携して活動を進めています。特に2023年には、政府の幼児教育カリキュラムに基づく「遊びを通した学び」の実践を後押しするためにシャンティが開発した就学前教育導入のガイドブックが、カンボジアにおける公式な副教材として認定されました。このガイドブックは現在も、現職教員を中心に広く活用されています。


■2026年5月21日には、プロジェクト開始記念式典を開催
当事業の開始にあたり、カンボジアにおいて2026年5月21日、シャンティとカンボジア教育・青年・スポーツ省(以下、教育省)の共催により、プロジェクト開始記念式典を開催しました。






式典には、カンボジア教育・青年・スポーツ省 Kim Sethany(キム・セタニー)大臣代理をはじめ、カンボジア日本国大使館 永瀬賢介公使、世界銀行 教育グローバル・プラクティス 東アジア・太平洋地域Cristian Aedo(クリスチャン・アエド)プラクティス・マネージャー、当会より山本英里事務局長、対象州の教育局長など約100名が出席しました。

式典の中では、カンボジアの教育分野の発展において、教育省、世界銀行、NGOをはじめとする関係者間のパートナーシップの重要性が強調されるとともに、本事業がカンボジアの子どもたちにもたらす効果への期待が言及されました。それぞれのコメントは下記です。

教育・青年・スポーツ省大臣代理 Kim Sethany(キム・セタニー)様より
事業立ち上げに際し、皆さまとご一緒できるこの機会を光栄に思い、関係者の皆さまに感謝いたします。幼稚園は、文字や数字や歌を学ぶだけでなく、他者と生きることを学び、適応力を身に付け、知的、身体的、社会的にも、人生の基礎を築く重要な場所です。また、幼児教育への投資は、子どもたちが小学校に入学する上での準備を整え、中途退学率を低下させるのにも役立ちます。
事業実施にあたり、シャンティとすべての関係者が協力し、カンボジアの子どもたちにより良い未来をもたらすことを願っています。

カンボジア日本国大使館公使 永瀬賢介様より
本日、世界銀行の『日本社会開発基金(JSDF)』を通じて日本政府の資金提供を受け、シャンティ国際ボランティア会により、テクノロジーを活用した幼児期のスキル育成プロジェクト(NEST)が開始されることを大変うれしく思います。
本プロジェクトがカンボジア全土の子どもたちに質の高い学習の機会を提供し、将来の人材育成に貢献することを心から願っています。また、本プロジェクトを通じて得られた知見や成果が全国に広がり、カンボジア全土における幼児教育のさらなる発展につながることを期待しています。

世界銀行 教育グローバル・プラクティス 東アジア・太平洋地域プラクティス・マネージャー Cristian Aedo(クリスチャン・アエド)様より
テクノロジーを活用した幼児期のスキル育成プロジェクト(NEST)開始記念式典に、皆様とご一緒できることを心からうれしく思います。
プロジェクトの焦点は非常に明確です。それは、特に教育の行き届いていない地域において、子どもたちが遊びを通じて学ぶ方法を強化し、テクノロジーの活用などを通じて教員への支援を強化することで、教育へのアクセスと質を向上させることです。これから皆で共に成し遂げる成果を楽しみにしています。

シャンティ国際ボランティア会事務局長 山本英里
私たちの活動の根底にあるのは、いかなる境遇にあっても、すべての子どもには尊厳と可能性が備わっているという信念です。私たちは、子どもたちが安全で思いやりのある環境で成長し、他者との関係を通じて「生きる力」を育むよう支援することを目指しています。
幼児期は、この「生きる力」を育む上で特に重要な段階です。遊びや日々の体験を通じて、子どもたちは人々、物、自然との関わりの中で、周囲の世界を理解していきます。幼い子どもたちにとって、遊びは最も自然で、子ども中心の学びの形です。遊びは言語や数字への関心を育み、他者との関係を築き、自信と思いやりを育みます。これらは生涯にわたる学びと成長の基盤となります。子どもたちの未来は、私たち全員が同じ方向に向かって協力し合うことにかかっていると信じています。
NESTプロジェクトは今後4年間にわたり継続されます。その過程では、課題も生じ、試行錯誤を通じて多くの学びがあることでしょう。しかし、本日ここに集まった皆さまと共に、子どもたちの未来のために、慎重かつ真摯な姿勢で一歩一歩前進していきたいと考えています。
最後に、本プロジェクトが対象地域の子どもたちの健やかな成長に寄与し、カンボジア全土における幼児教育のさらなる発展につながることを心から願っております。





■テクノロジーを活用した幼児期のスキル育成プロジェクト/ Nurturing Early Skills through Technology(NEST)について

プロジェクト概要
乳幼児期は人間の発達の基礎を培う大切な時期である。この時期に適切なケアや教育を受けられるようにすることは、あらゆる側面での発達を促進し、生涯にわたる学習意欲や将来的な生産性にもつながるが、カンボジアの就学前教育はアクセスや質においてさまざまな課題を抱えている。2023~2024年度の統計によると、5歳児の就園率は改善傾向にあるものの、3歳児の就園率は約15%、4歳児でも約36%にとどまり、幼児教育を受けられない子どもが多く存在する。また、多くの幼稚園では教員の専門性や教材、学習環境が十分ではなく、2018年に改訂された幼児教育カリキュラムにおいて基本原則である「遊びを通した学び」が十分に実践されていない状況がある。このような状況の中、特に貧困層や農村地域の子どもたちは、適切な学びや発達の機会を得られず、小学校入学後の学習にも影響を受けるリスクがある。

こうした背景を踏まえ、日本社会開発基金(JSDF)は、世界銀行が管理する「テクノロジーを活用した幼児期のスキル育成プロジェクト/Nurturing Early Skills through Technology(NEST)」事業を通じて、カンボジアにおける幼児教育の質とアクセスの改善を支援する。本事業は、2026年5月から2030年3月までの約4年間にわたり、約470万ドルの資金提供を受けて実施されるもので、日本の公益社団法人(NGO)であるシャンティ国際ボランティア会(SVA)が実施機関となり、教育・青年・スポーツ省と連携しながら、特に支援が必要とされる農村地域において包括的な取り組みを行う。

本事業は、「デジタル技術を通じた教員支援による「遊びを通した学び」の推進を通じて、幼児教育へのアクセス及び質を改善すること」を目的として、カンボジア北西部のバッタンバン州、パイリン州、バンテアイミエンチェイ州内の7郡、60の公立幼稚園を対象に実施され、約9,500人の子ども、教員、保護者が直接の受益者となっている。具体的には、教員に対する実践的な研修の実施、教員向けのデジタル教材やオンラインプラットフォームの開発、保護者向けの啓発活動を通じて、幼稚園や家庭における教育の質の向上に取り組む。また、幼稚園の建設および改修、家具や教材、園庭遊具、デジタル機材の整備を通じて、安全で衛生的な学習環境を整備するとともに、学校給食プログラムの導入により子どもの栄養状態の改善を図ることで、より多くの子どもが継続的に就園できる環境を整え、幼児教育へのアクセスの改善につなげる。



















<シャンティ国際ボランティア会について>
公益社団法人シャンティ国際ボランティア会は、1981年に設立された、アジアで子どもたちへの教育文化支援や緊急人道支援を行うNGOです。子どもたちがどのような環境下でも学ぶことができるよう、シャンティは教育の機会を届けています。

設立 :1981年12月10日
会長 : 若林 恭英
所在地:〒160-0015 東京都新宿区大京町31 慈母会館2・3階
事業内容 :教育文化支援事業、緊急人道支援事業
公式ウェブサイトURL : https://sva.or.jp/
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