消費者として気になるのが、家電がさらに安くなるのかという点だ(画像はイメージ)

【家電コンサルのお得な話・307】 ヤマダホールディングスとエディオンの経営統合により、両社の売上高を単純合算すると約2兆5000億円の企業が誕生する予定だ。ここで消費者として気になるのが、家電がさらに安くなるのかという点だ。

小売業は規模が大きいほど価格交渉力が強まる

これまで家電量販店各社は、大量仕入れと大量販売を背景に、メーカーとの本部商談(本社レベルでの仕入れ交渉)を有利に進めてきた。販売数量や重点商品を決め、好条件を引き出し、店頭価格に反映する。規模が大きいほど価格交渉力が強まり、消費者も恩恵を受けてきた。

しかし、この安さは、消費者に最も合う商品を選ぶのではなく、本部商談で先に決まった「売るべき商品」を販売員が勧める構造によって実現していた面もある。接客は消費者のニーズよりも、販売したい商品を起点に進みやすかった。

現在、この仕組みが揺らいでいる。指定価格制度の導入拡大、国内家電メーカーの海外企業傘下入り、取引適正化、量販企業の製造事業への進出などで、従来の価格中心の商談が難しくなりつつある。値引き差が縮まれば、「どこで買うか」の基準も変わる。

そこで今後は、規模の使い方が「大量に仕入れて安く売る」から、「大量販売を前提に独自の商品をつくる」方向に移っていく可能性がある。販売ロットが小さいオリジナル商品は、色や一部仕様の変更にとどまりやすかった。メーカーが専用部品や設計変更の費用を回収しにくいからだ。数量が増えれば、専用設計や独自機能を盛り込み、小規模では不採算だった商品が実現する可能性が高まるだろう。

つまり消費者にとっては、機能を絞った低価格商品から、生活課題に対応する高付加価値商品まで、選択肢が広がる可能性がある。店頭の声や購買データが商品企画に反映されれば、接客も「決められた商品を売る」形から「生活に合う商品を提案する」形へ変わっていく。量販企業ごとの顧客層や商品思想が分かれれば、自分に合う商品を扱う企業を選べる。

ただし、オリジナル商品は他店と価格や性能を比較しにくい。そのため、利益率の高い自社商品が新たな「売るべき商品」になれば、消費者中心とは言えない。不要な機能を含む場合もあるため、購入時は必要な機能、保証、修理体制まで確認したい。

これからは同じ商品をどこで安く買うかだけでなく、どの家電量販店が自分の暮らしに合う商品を作り、納得できる提案かどうかを見る時代になる。統合の本当の恩恵は、競争軸を価格から商品へ移し、消費者の選択肢を豊かにできるかにかかっている。(堀田経営コンサルタント事務所・堀田泰希)