~全国300名調査で判明、正しい応急処置を知っている人はわずか12.7%~
【結論】本調査のポイント
【結論】クラゲに刺されたら、まず海水で患部を洗い流し、残った触手をピンセット等で除去してください。真水で洗う、こする、酢をかけるなどの処置は症状を悪化させる可能性があります。刺された跡が数日経っても消えない、腫れや痛みが強い場合は皮膚科を受診してください。
・海水浴経験者の67.3%がクラゲ刺されの経験あり、そのうち83.2%が誤った応急処置を実施
・「真水で洗う」が最多の誤対応で42.1%、次いで「患部をこする」が31.4%
・正しい応急処置(海水で洗う・触手を除去)を知っていた人はわずか12.7%
用語解説
■ クラゲ刺傷(くらげししょう)とは
クラゲ刺傷とは、クラゲの触手に含まれる刺胞(しほう)から放出される毒針によって引き起こされる皮膚障害である。接触直後から激しい痛み、発赤、腫脹が生じ、重症例ではアナフィラキシーショックを起こすこともある。日本近海ではアンドンクラゲ、カツオノエボシ、アカクラゲなどが主な原因種となる。
■ 刺胞(しほう)とは
刺胞とは、クラゲやイソギンチャクなどの刺胞動物が持つ細胞内小器官である。刺激を受けると毒針を発射し、獲物や外敵を麻痺させる。クラゲの触手1本あたり数千~数万個の刺胞が存在し、接触により自動的に発射される仕組みになっている。
■ アナフィラキシーショックとは
アナフィラキシーショックとは、アレルギー反応の最重症型で、全身に急激な症状が現れる状態である。クラゲ刺傷の場合、特にカツオノエボシなど毒性の強い種では、呼吸困難、血圧低下、意識障害などを引き起こし、適切な処置がなければ生命に関わることもある。
クラゲ刺され応急処置の正誤比較

※一般的な目安であり、個人差があります。重症の場合は速やかに医療機関を受診してください。
医療法人社団鉄結会が運営するアイシークリニック(新宿院・渋谷院・上野院・池袋院・東京院・大宮院)は、海水浴シーズン本番を迎えるにあたり、クラゲ刺されをはじめとする海の生き物による皮膚トラブルに関する実態調査を実施しました。本調査では、全国の海水浴経験者300名を対象に、クラゲ刺されの経験や応急処置の実態、正しい知識の普及状況について調査を行いました。
調査背景
毎年7月から9月にかけての海水浴シーズンには、クラゲ刺傷による皮膚トラブルで皮膚科を受診する患者が急増します。特に8月はクラゲの発生がピークを迎え、お盆休みの海水浴客がクラゲに刺されるケースが後を絶ちません。しかし、インターネット上には「真水で洗う」「砂でこする」「酢をかける」など、誤った情報も多く流布しており、不適切な応急処置によって症状を悪化させるケースも少なくありません。そこで当院では、海水浴シーズンに向けた正しい知識の普及を目的として、本調査を実施しました。
調査概要
調査対象:全国の20~60代で海水浴経験のある男女
調査期間:2026年7月6日~7月15日
調査方法:インターネット調査
調査対象人数:300名
調査結果
【調査結果】海水浴経験者の約7割がクラゲ刺されを経験
設問:あなたは海水浴中にクラゲに刺された経験がありますか?

海水浴経験者の約7割がクラゲに刺された経験があることが明らかになりました。海水浴を楽しむ上で、クラゲ刺されは非常に身近なリスクであり、正しい応急処置の知識を持っておくことの重要性が示唆されます。
【調査結果】最多は「真水で洗う」で42.1%、8割以上が誤った処置を実施
設問:クラゲに刺されたとき、最初にどのような処置をしましたか?(経験者のみ回答)

「真水で洗う」「こする」といった誤った処置が7割以上を占めており、正しい処置である「海水で洗い流した」はわずか8.9%にとどまりました。真水で洗うと浸透圧の変化により未発射の刺胞が一斉に発射し、症状が悪化する危険性があります。
【調査結果】正しい応急処置を知っている人はわずか12.7%
設問:クラゲに刺されたときの正しい応急処置を知っていますか?

正しい応急処置を「知っている」と回答した人はわずか12.7%で、半数以上が「よくわからない」または「全く知らない」と回答しました。正しい知識の普及が急務であることが明確になりました。
【調査結果】医療機関を受診した人は23.8%、7割以上が自己判断で対処
設問:クラゲに刺された後、医療機関を受診しましたか?(経験者のみ回答)

医療機関を受診した人は4人に1人未満で、約2割が「跡が残った・症状が長引いた」と回答しています。自己判断で対処した結果、色素沈着や瘢痕が残るケースも少なくないことがうかがえます。
【調査結果】7割以上が「酢が効く」という情報を認知、誤情報の拡散が深刻
設問:「酢をかけるとクラゲの毒に効く」という情報を聞いたことがありますか?

「酢が効く」という情報を聞いたことがある人は84.7%に上り、そのうち約半数が「正しいと思っていた」と回答しました。実際には酢はアンドンクラゲなど一部の種にのみ有効で、カツオノエボシなどには逆効果となる場合があります。
調査まとめ
本調査により、海水浴経験者の約7割がクラゲに刺された経験を持つ一方で、正しい応急処置を知っている人はわずか12.7%にとどまることが明らかになりました。特に「真水で洗う」「患部をこする」といった誤った処置が広く行われており、症状を悪化させるリスクが高い状況です。また、「酢が効く」という一部正しい情報が全てのクラゲに当てはまると誤解されている実態も浮き彫りになりました。海水浴シーズンに向けて、正しい応急処置の知識を普及させることが急務です。
医師コメント|アイシークリニック 高桑康太医師
皮膚科医として15年以上の臨床経験から申し上げると、クラゲに刺されたときの応急処置は「海水で洗い流し、触手を除去し、患部を冷やす」の3ステップが基本です。真水で洗う、こする、むやみに酢をかけるといった処置は症状を悪化させる原因となります。
クラゲの触手には「刺胞」と呼ばれる毒針を発射する細胞が無数に存在します。この刺胞は物理的刺激や浸透圧の変化によって発射されるため、真水で洗うと海水との浸透圧差で未発射の刺胞が一斉に発射し、被害が拡大します。同様に、患部をこすったり砂でこすったりする行為も、刺胞を皮膚に押し込み、さらなる毒の注入を招きます。
酢については、アンドンクラゲ(通称「電気クラゲ」)には刺胞の発射を抑制する効果がありますが、カツオノエボシには逆に刺胞の発射を促進してしまいます。海岸でクラゲの種類を正確に判別することは困難なため、酢の使用は推奨しません。
正しい処置としては、まず海水で患部を十分に洗い流し、目に見える触手があればピンセットやカードの縁などで慎重に除去します。素手で触ると指にも被害が及ぶため注意が必要です。その後、氷嚢やタオルで包んだ保冷剤で患部を冷やし、炎症と痛みを抑えます。
症状が強い場合、広範囲に刺された場合、呼吸困難や動悸などの全身症状がある場合は、速やかに医療機関を受診してください。特にカツオノエボシなど毒性の強い種による刺傷では、アナフィラキシーショックを起こすリスクがあり、迅速な対応が求められます。
【エビデンス】日本皮膚科学会や日本臨床皮膚科医会でも、クラゲ刺傷に対する正しい応急処置の普及が推進されています。皮膚科医としての臨床経験では、不適切な初期対応により色素沈着や瘢痕が残ってしまったケースを多く診てきました。適切な処置を行えば、多くの場合1~2週間で症状は改善します。
クラゲに刺されたときの正しい応急処置
・海水で患部を洗い流す(真水は使用しない)
・触手が残っていればピンセット等で除去(素手で触らない)
・氷嚢やタオルで包んだ保冷剤で患部を冷やす
・抗ヒスタミン薬やステロイド外用薬があれば塗布
やってはいけない処置
・真水・水道水で洗う(刺胞が発射される)
・患部をこする・砂でこする(刺胞が皮膚に押し込まれる)
・種類不明の場合に酢をかける(逆効果の場合あり)
・尿をかける(効果なし、感染リスクあり)
すぐに医療機関を受診すべき症状
・呼吸困難、動悸、めまいなどの全身症状
・広範囲に刺された場合
・痛みや腫れが強く、数時間経っても改善しない
・刺された跡が数日経っても消えない、水疱ができた
高桑 康太(たかくわ こうた)医師
皮膚腫瘍・皮膚外科領域で15年以上の臨床経験と30,000件超の手術実績を持ち、医学的根拠に基づき監修を担当
専門分野:皮膚腫瘍、皮膚外科、皮膚科、形成外科
・ミラドライ認定医
臨床実績(2024年時点、累計)
・皮膚腫瘍・皮膚外科手術:30,000件以上
・腋臭症治療:2,000件以上
・酒さ・赤ら顔治療:1,000件以上
略歴
・2009年 東京大学医学部医学科 卒業
・2009年 東京逓信病院 初期研修
・2012年 東京警察病院 皮膚科
・2012年 東京大学医学部附属病院 皮膚科
・2019年 アイシークリニック 治療責任者
監修領域:皮膚腫瘍(ほくろ・粉瘤・脂肪腫など)、皮膚外科手術、皮膚がん、一般医療コラムに関する医療情報
よくある質問(Q&A)
Q1. クラゲに刺されたらどうすればいい?
A. 海水で洗い流し、触手を除去し、患部を冷やすのが正しい応急処置です。
まず海水で患部を十分に洗い流し、残った触手があればピンセット等で慎重に除去します。その後、氷嚢等で患部を冷やしてください。調査では正しい処置を知っている人はわずか12.7%で、42.1%が真水で洗うという誤った対応をしていました。真水は刺胞を発射させるため、必ず海水を使用してください。
Q2. クラゲ刺されに酢は効く?
A. アンドンクラゲには効果がありますが、カツオノエボシなど他の種には逆効果となる場合があります。
調査では48.7%が「酢が効く」と信じていましたが、これは一部のクラゲにのみ当てはまります。日本の海水浴場で見られるカツオノエボシには酢が逆効果となり、刺胞の発射を促進してしまいます。種類の判別が困難な現場では、酢の使用は避けることをお勧めします。
Q3. クラゲに刺された跡が消えない場合、皮膚科に行くべき?
A. 数日経っても跡が消えない場合は、皮膚科を受診することをお勧めします。
調査では18.7%が「受診せず跡が残った・症状が長引いた」と回答しています。クラゲ刺傷による色素沈着や瘢痕は、早期に適切な治療を行うことで改善が期待できます。特に痛みや腫れが続く場合、水疱ができた場合は、感染や重症化の可能性があるため、早めの受診をお勧めします。
Q4. クラゲに刺されたときに真水で洗ってはいけないのはなぜ?
A. 真水と海水の浸透圧差により、未発射の刺胞が一斉に発射されるためです。
クラゲの刺胞は浸透圧の変化に敏感で、真水に触れると一斉に毒針を発射します。調査では42.1%が真水で洗っており、これが最も多い誤った対応でした。必ず海水を使用し、真水(水道水、ペットボトルの水、シャワーなど)は避けてください。
Q5. クラゲに刺されないための予防法は?
A. ラッシュガードの着用、クラゲ発生情報の確認、クラゲ防止ネット内での遊泳が有効です。
肌の露出を減らすラッシュガードやウェットスーツの着用が効果的です。また、クラゲは8月中旬~9月にかけて発生がピークを迎えるため、海水浴場のクラゲ発生情報を事前に確認することも重要です。調査では67.3%がクラゲ刺されを経験しており、予防意識を高めることが大切です。
放置のリスク
・不適切な応急処置による症状の悪化(刺胞の追加発射)
・色素沈着や瘢痕として跡が残る可能性
・重症例ではアナフィラキシーショックによる生命の危険
・二次感染による化膿や蜂窩織炎のリスク
こんな方はご相談ください|受診の目安
・呼吸困難、動悸、めまいなど全身症状が現れた場合
・広範囲に刺された場合、または顔面・首を刺された場合
・痛みや腫れが数時間経っても改善しない場合
・刺された跡が数日経っても消えない、または水疱ができた場合
・発熱や化膿など感染の兆候がある場合
クリニック案内
アイシークリニックの特徴
・皮膚科専門外来で海洋生物による皮膚トラブルに対応
※新宿院一般皮膚科のみでの対応となります。
・新宿・渋谷・上野・池袋・東京・大宮の6院体制で通いやすい
・土日祝日も診療可能
・色素沈着や瘢痕に対するレーザー治療も対応可能
アイシークリニック新宿院:東京都渋谷区代々木2-5-3 イマス葵ビル2階
アイシークリニック渋谷院:東京都渋谷区渋谷3-16-2 ニュー三水ビル5階
アイシークリニック上野院:東京都台東区東上野3-16-5 サンク・ユービル1F
アイシークリニック池袋院:東京都豊島区南池袋2-15-3 前田ビル9階
アイシークリニック東京院:東京都中央区日本橋3-6-2 日本橋フロント3階
アイシークリニック大宮院:埼玉県さいたま市大宮区大門町1-60 福美メディカル2階B区画
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