Appleは値上げの理由を公式には明らかにしていない

【家電コンサルのお得な話・308】7月に行われたiPhoneの日本市場での値上げが話題となっている。価格改定後、Apple StoreでのiPhone 17の販売価格は14万2800円からとなっているが、Appleは値上げの理由を公式には明らかにしていない。ただ、円安が長期間続いていることや、日本円で得た売上をドルに換算すると価値が下がることから、為替の変動が価格改定の重要な要因となった可能性は高いと考えられる。

「円安」はiPhoneなど輸入品にはマイナスの影響

具体的な数字を挙げて説明しよう。2016年頃、円相場は1ドル=100円台で推移する時期があった。対して、直近の2026年7月は1ドル=160円台となっている。10年前と比べると、同じ1ドルを手に入れるために約1.6倍の円が必要になった。これが円安である。

また、円安はすべての企業に同じ影響を与えるわけではなく、事業を展開する国や、輸出・輸入といった事業形態によって、メリットとデメリットが異なる。その影響を身近に示す例の一つが、今回のiPhoneの値上げである。

なぜ円安になると、日本で販売されるiPhoneが高くなるのか。1000ドルの商品を例にすると分かりやすい。1ドル=100円なら1000ドルは10万円だが、1ドル=160円になると16万円になる。

仮に日本での販売価格を10万円のまま変えなければ、1ドル=160円の時には625ドルにしかならない。海外企業から見れば、同じ商品を同じ価格で販売しても、ドル換算の売上は1000ドルから625ドルへ減少する。375ドルの目減りは相当なものだ。それを補うため、日本向けの販売価格を引き上げる必要が生じるのである。

ただし、実際の商品価格は為替だけで機械的に決まるものではない。消費税、物流費、部品価格、市場での競争、企業の販売戦略なども関係する。為替が100円から160円になっても、価格が必ず1.6倍になるわけではない。企業が戦略的に考え、利益の一部を減らして価格を抑えたり、急激な値上げによる販売台数の減少を避けたりする場合もある。

価格を上げれば販売台数が減る恐れがあるため、企業は廉価モデルの投入、容量や機能の見直し、下取りの強化、分割払いの充実などを進めると考えられる。消費者にとっては、表示価格だけでなく、使用期間や下取り価格も含め、支払う金額に見合う価値があるかを判断することが、これまで以上に重要になるだろう。(堀田経営コンサルタント事務所・堀田泰希)