ダイソンは9月2日、新カテゴリーに参入するとして電動歯ブラシ「Dyson CameraJet」を発表した。10万画素のマクロレンズカメラとAIの機械学習が連携し、歯と歯の間を的確にとらえてジェット噴射で洗浄する「Gap Optical Targetingテクノロジー」を搭載。1台でブラッシングとフロスを実現する。給水機能付き充電ドックと充電ドックケース、ブラシヘッド2本(レギュラー)、防水設計のマグネット式充電USB-Cケーブルが付属。価格はオープンで、実売想定価格は7万9800円。
10年以上にわたり口腔内に蓄積する汚れや細菌を研究
ダイソン シンガポールのスティーブン・オンHead of Design Engineeringは「われわれは口腔ケアに新たな革新をもたらし、ゲームチェンジャーとなるデバイスを投入します。オーラルケアをより便利で効果的にします。そして、一番大事なポイントは、使っていて心地よいデバイスであることです」と宣言した。
ダイソンのエンジニアとサイエンティストは10年以上にわたり、オーラルケアの習慣や、口腔内に蓄積する汚れ、細菌の実態を研究してきた。その結果、多くの人に共通する、歯垢が蓄積しやすい箇所は「歯間」にあると特定した。
ただ、歯間を洗浄するには、歯ブラシとは別に、糸や水を使ったフロスで狭いすき間汚れを落とす必要がある。このフロスが面倒で時間もかかり、日常の習慣として取り入れられている人は少ない。Dyson CameraJetは、このフロスを習慣化できるように、6年の歳月をかけて開発し、1台でブラッシングとフロスをできるようにした。
スティーブン・オン氏は「フロスは決して楽しい作業ではありません。特に奥歯はなかなか難しく、毎日フロスする人は少ないです。日本だけで見ても、毎日フロスをする人は21%しかいません。そこで、マウスウォッシュを使って奥歯まで届くようにしますが、不快感が残ります。そのため、本来は2分かけることを推奨している歯磨きが、45秒ぐらいしか行われていないのです」と、フロスの重要性と習慣化の難しさについて語った。
毎秒28枚の画像をリアルタイムに解析して歯間を特定
新開発したダイソン独自のAI機械学習アルゴリズムを反映した「Gap Optical Targetingテクノロジー」は、10万画素、1.2mmのマクロレンズカメラでとらえた毎秒28枚の画像を、リアルタイムに解析しながら歯間の的確な箇所を特定する。レンズカバーには「LEDドームテクノロジー」を搭載。汚れや泡を分散させるドーム形状により、カメラの視界をクリアにする。
しかし、ブラッシング中の口の中は暗いはずだが、なぜ歯間の位置を検知できるのだろうか。実は、ブラシヘッドの高速振動に同期して発光するストロボライトを内蔵している。3.9mm/sごとに発光するため、人の目では認識できないほどで、ブレることなく歯間を撮影できる。
なお、歯間を撮影できるようになったことで、スマホのMyDysonアプリで「ライブ映像」を確認しながら奥歯や歯ぐきの状態などを確認できる。歯科医師が診療時に確認するような視界を、自分でもリアルタイムで確認できるのは、従来にはなかった新しい体験として受け入れられそうだ。
MyDysonアプリではほかにも、3分間でブラッシングやフロスを行うクリーニングガイドやクイックスタートガイド、お手入れとメンテナンスなどもチェックできる。
プライバシー保護の観点から、カメラで捉えた映像データは、デバイス本体やアプリに保管・保存されることはない。セッションが終了すると自動消去される。
可変式の音波振動で振動が失速しない
さて、カメラで歯間をとらえた後は、0.1秒以内にジェット水流を噴射。この噴射方法にも「コニカルジェット」という新技術を採用。ジェット水流が円すい状に広がることで、効果的に汚れを除去。歯ぐきやエナメル質への負担を軽減する。
ハンドル部分には、1回分のセッションに必要な12.5mlの水(マウスウォッシュも可能)が入るシリコン製のアンチグラビティタンクを内蔵。水が減るにつれてシリコンが柔軟に膨張・伸縮して、タンク内に気泡が生じない仕組みだ。逆さにしても、どの方向で持っても、ジェット噴射のパワーが落ちることはない。
ブラッシングでも、「可変式の音波振動」という独自技術を開発。常にブラシを動かし続けるため、振動が失速せず、より多くの歯垢の除去につながる。ブラシヘッド2本にはRFIDタグが内蔵されており、3カ月に1回の頻度で交換時期をうながす。
ダイソンはDyson CameraJetを開発するにあたり、シンガポール国立大学と手を組んで人工歯垢を開発したという。実際の歯垢と同じ質感や挙動を再現できる人工歯垢があったから、臨床実験が難しい開発段階でも、ブラシの形状やジェット噴射の角度などの検証を繰り返し、迅速に最適化できた。
給水機能付き充電ドックは、ドック天面にあるボタンを押すだけで、わずか3秒で歯ブラシに水(マウスウォッシュも可能)を補充できる充電ドックだ。
本体のボタンは三つあり、一番上が電源のオン/オフ、真ん中がオートジェットモードのオン/オフ。長押しすれば手動になり、1回押すと1ジェット洗浄になる。下のボタンは三つのブラッシングモード(センシティブ/デイリークリーン/ディープクリーン)を搭載する。
電動歯ブラシにフロスを一体化したDyson CameraJetは、開発に6年かけただけあってさまざまなテクノロジーを搭載している。価格帯が高いため、家族それぞれが所有する製品としてはハードルが高い。健康な体を維持するために、口腔環境を清潔に保つ重要性を理解する必要がある。そのためのフロスの重要性や使い方、メンテナンスなど、少し時間はかかるかもしれないが、地道な啓発活動が必要となるだろう。(BCN・細田 立圭志)







