『ある素敵な日』のインストが流れる場内。客電がおちると、そのリラックスムードが一転。まだ真っ暗なステージにバックバンドのメンバーが静かにスタンバイすると、舞台後方に作られた階段の上層にピンスポットがあたり、そこにヨンファの姿が浮かび上がる。
客席からの歓声を一身に浴びながらやわらかに歌い上げるバラードチューン『あなたがいなくても』でこの日のライブは幕開け。CNとはまったく違うリサイタルのようなライブなのかと思いきや、次の『思い出は残酷に…』のイントロが始まると「TOKYO, Are you ready?」とファンを煽り、階段をいっきに駆け下りて舞台中央でモニターに片足をかけ、いつものロックなヨンファへモードチェンジ。
そこからCNの『Ryu Can Do It』へと展開。韓国のトップミュージシャンを集めたヨンファバンドは、Gふたり+Ba+Ds+Keyふたり+Chふたりという編成。骨太のサウンドにのせて、CNのときとは違い、ここではギターレスのヨンファがハンドマイクでキレキレのラップを全身でパフォーマンス! のってきたヨンファはたまらず高音シャウトを入れ、続く『Checkmate』では曲の後半、これでもかというぐらいぐいぐい熱量を放出して、ダイナミックなボーカルで客席を圧倒した。
歌い終わった後、「こんばんは、ジョン・ヨンファです。あー楽しいな、嬉しいなー」と体を揺らして笑うヨンファ。単独ライブで緊張しているかと思いきや“これが楽しくてしょうがないんだ”といわんばかりに子どものような無邪気な笑顔を浮かべ、客席を見渡す。CNのときは他のメンバーにサポートしてもらっていた日本語のMCも「みんなアルバムはどの曲が好きでしたか? えっ? …あぁー、全部ですね!」といって客席から笑いとるほど今回のツアーで大成長。
その後は「僕が昔尊敬していたアーティストさんを」というトークから、カバータイムへ。ここでは、ボブヘアのウィッグ&グラサン&タンバリンを持ってリアム・ギャラガーになりきってOASISの『Supersonic』を、次は頭にヘアバンドをつけてGジャンをはおりジョン・ボン・ジョヴィになりきってBON JOVIの『You Give Love a Bad Name』を歌いグセまでパーフェクトに“完コピ”。
さらに、韓国の大先輩であるヤン・ドングンとコラボした『Mileage』では、ドングンのラップパートを完コピしながら一人二役を見事こなしてこの曲を披露。客席は大爆笑に包まれた。ここでは多彩な歌い手ヨンファと実は普段は茶目っ気たっぷりという素のヨンファ、そんな彼の2つの魅力をたっぷり見せつけた。