2026年9月26日(土)- 11月7日(土)

KOTARO NUKAGA(六本木)では、2026年9月26日(土)から11月7日(土)まで、ロサンゼルスを拠点とするアーティスト、コア・ポアによる個展「Points of Entry」を開催します。
本展では、オリエント絨毯の構造を絵具で描き起こし、様々な地域の伝統的な文様やモチーフを同じ画面に重ね合わせる〈Poly Painting〉シリーズの新作を発表します。ポアにとって、文様も、技法も、名前も、どこか一箇所に源泉をもつものではありません。絨毯に巻かれて運ばれ、海流と偏西風に乗り、翻訳を経て往還してきたイメージの経路と、そのつど入れ替わってきた出入口の位置そのものが、画面上に並置されます。
1987年イギリス・エクセター生まれのポアは、イランから英国へ渡り絨毯を商った父のもとで育ちました。2010年にオーティス・カレッジ・オブ・アート・アンド・デザインを卒業し、以後ロサンゼルスを拠点に活動。2009年にサファヴィー朝のアルダビール絨毯と出会って以来、絨毯という様式を用いた制作を続けてきました。ポアの活動は早い時期から国際的な注目を集め、米Forbes誌が各分野の30歳未満の30人を選ぶ「30 Under 30」のアート&スタイル部門に、2015年と2017年に選出。東京都庭園美術館、Aga Khan Museum(カナダ)など各国の美術館で作品を発表し、KOTARO NUKAGAでは2024年の二人展「Myth In Motion」以来の紹介です。絵の具を削り落として下の層を露出させ、失われた図像を補完しながらその継ぎ目を隠さないその手法は、断片と推測によって編まれてきた絨毯の歴史、ひいては歴史記述そのものへの応答です。
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開催概要
コア・ポア「Points of Entry」会期: 2026年9月26日(土)- 11月7日(土)
開廊時間: 11:30 - 18:00(火 - 土)
※日月祝休廊
会場: KOTARO NUKAGA(六本木)
〒106-0032 東京都港区六本木6-6-9 ピラミデビル2F
オープニングレセプション: 2026年9月26日(土) 16:00 - 18:00
※コア・ポアが在廊します。
展覧会の見どころ
(1)船、鉄道、車、飛行機--移動の歴史をたどる
本展では、船、鉄道、車、飛行機という4つの交通手段を軸にした作品群を発表します。南蛮船や蒸気機関車、人力車、初期の自動車、旅客機など、異なる時代のイメージが一つの画面に重なり、人や物、文化が国境を越えて移動してきた歴史を映し出します。

画面には、日本人が描いた西洋の人々と、西洋の画家が描いた日本のイメージが共存しています。互いの文化をどのように見つめ、描き、受け取ってきたのか。ポアは日本の鎖国と開国の歴史を現在の移民や国境をめぐる問題へとつなぎ、内側と外側の間に立つ視点を提示します。
(2)画面を縁取る、旅する文様

作品を囲む縁取りには、船に青海波、鉄道に麻の葉と星文、車に七宝繋ぎ、飛行機に雲文と、それぞれのモチーフに応じた文様が描かれています。これらは日本で親しまれてきた一方、地域を越えた交流のなかで受け継がれ、変化してきた意匠でもあります。
ポアにとって、絨毯は「家」であると同時に、持ち運ぶことのできる「移動」の象徴です。また、その文様には産地や時代を越えた文化交流の記憶が織り込まれています。絨毯の構造を受け継ぐ本展の絵画では、描かれた乗り物だけでなく、画面を縁取る文様そのものもまた、文化の旅を物語ります。
(3)欠けた図像を、AIと手仕事でつなぐ
ポアは今回の制作で、欠損していたり画質が低かったりする歴史資料のイメージを補完するため、初めてAIを用いました。AIによる出力は構図を検討するための素材であり、最終的な画面は作家自身の手で描かれています。事実の断片と想像による補完を組み合わせるこの工程は、残された資料から歴史を読み解く行為とも重なります。

キャンバスには絨毯の経糸と緯糸を思わせる細かな目が描かれ、完成後には表面を削ることで下層が現れます。新しく描かれたイメージに時間の痕跡を重ねながら、何が事実として残り、何が想像によって補われるのかを問いかけます。
ぜひ、この機会にご高覧ください。
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Kour Pour

1987年 イギリス、エクセター生まれ。アメリカ、ロサンゼルスを拠点に活動。
イギリスとイランにルーツをもつアメリカ人アーティストであるコア・ポアは、制作プロセス、メディア、文化的参照の領域を絶え間なく横断しながら、グローバルな美術史と、その形成に内在する諸要素を探究する。精緻な手描きが施されたカンヴァス上には、巨大な木版印刷や建築的な形の色面が組み合わされ、コンセプトの深度と工芸の厳格さを動的に接続する独自の造形言語が形成されている。ポアの実践に通底する原理のひとつは、現代の美術史理解とアイデンティティ観を規定してきた複合的な力学への問いかけである。ペルシャ絨毯や日本の浮世絵といった、地理や時代を横断する視覚言語に取り組むことで、現代は正典とみなされる単線的かつ単純化された美術史の背後に隠れがちな、文化交流のハイブリッドで重層的な物語を可視化しようとポアは試みているのだ。加えて、ポアにとって美術史の探究は、アイデンティティと密接に結びついている。ポアは、アイデンティティを、固定的な範疇によって規定される静的かつ単一の状態ではなく、時間とともに生成し変形し続ける、複雑で流動的かつ曖昧な観念として理解すべきだと主張する。ポアの制作は自身の生と強く結びついており、作品の多くは個人的な体験から生まれる。イングランドで生まれ育ちながら、彼はしばしば「どこの出身か」と問われてきた。その問いこそが、ポアが世界を探求する原動力である。近年はAga Khan Museum(トロント / カナダ)、Gallery 1957(ロンドン / イギリス)、Kavi Gupta Gallery(シカゴ / アメリカ)で展示を開催。作品はオレンジ・カウンティ美術館(カリフォルニア / アメリカ)に収蔵されている。
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