~家庭系廃食用油・飲食店排水油泥を対象に、回収ポテンシャルの可視化と行動変容を実証~

食のサプライチェーンの課題に、現場視点とデータで挑むアールイー株式会社(本社:東京都豊島区、代表取締役:今井直樹、大慈弥晶土、以下「アールイー」)と、芝浦工業大学 システム理工学部 環境政策研究室(指導教員:袖野玲子教授、以下「芝浦工業大学」)は、家庭から出る廃食用油と、飲食店のグリストラップ(油水分離槽)に蓄積する排水油泥の回収促進に向けた共同研究に取り組みます。
今回の共同研究では、芝浦工業大学 環境政策研究室の学生が、飲食店における排水油泥の発生・管理実態の調査、家庭系廃食用油の地域別回収ポテンシャルの可視化、消費者の行動変容を促す回収拠点での実証など、それぞれの研究テーマに取り組みます。
アールイーは、これまで廃食用油などの回収・利活用に取り組んできた知見を生かし、データや事業者ネットワーク、実証フィールドを提供。政策、データ分析、行動科学という複数の視点から、「都市に眠る油資源」をより効率的に回収・活用する仕組みの構築を目指します。



産学共同研究の背景

航空分野をはじめとする脱炭素化の進展に伴い、SAF やバイオディーゼル燃料などの原料となる廃食用油への需要が高まっています。日本でも2030年に向けたSAFの導入目標が掲げられており、国内に存在する原料をいかに回収・活用していくかが重要な課題となっています。国内の廃食用油を見ると、事業系は回収・再利用の仕組みが広く定着している一方、家庭系はその多くが回収・再利用されないまま廃棄されているのが現状です。
さらに、飲食店などに設置されるグリストラップには、調理や食器洗浄などに伴う油分を含んだ「排水油泥」が蓄積します。環境省の委託により全国油脂事業協同組合連合会が実施した調査(令和 6 年度)によると、飲食店のグリストラップから発生する排水油泥は全国で年間約33 万トンと推計され、十分な資源化には至っていません。これらは資源として活用できる可能性がある一方、不適切な管理によって悪臭や排水管の詰まり、下水道インフラへの負荷につながるなど、衛生・環境面の課題もあります。 こうした「都市に眠る油資源」の回収を広げるためには、技術開発だけでなく、「どこで、どの程度の油資源が発生しているのか」「どこに回収拠点を設ければ効率的に回収できるのか」「生活者や飲食店に、どうすれば回収に参加してもらえるのか」といった、発生実態、回収インフラ、行動変容を一体で捉える視点が必要です。今回の共同研究では、これらの課題を実際の地域や回収拠点をフィールドとして調査・検証します。

共同研究の概要

本共同研究には、芝浦工業大学 環境政策研究室の複数の学生が参画します。主な研究テーマは以下の通りです。
(1)飲食店における排水油泥の活用可能性評価 さいたま市大宮エリアの飲食店を対象に、グリストラップの管理実態(清掃頻度、費用、課題、回収協力意向など)に関するヒアリング・アンケート調査を実施します。店舗規模と油泥発生量の関係を分析し、排水油泥の回収ポテンシャルの評価と回収促進策の検討につなげます。
(2)家庭系廃食用油回収の「見える化」と地域別回収ポテンシャルの分析 自治体・民間企業の回収量データに人口・世帯構成データなどを組み合わせ、BIツールを活用して回収実績と回収見込み量を地域別に可視化します。重点的に周知すべき地域の特定や回収拠点の配置見直しなど、効率的な回収体制の構築に向けた方策を検討します。
(3)消費者行動と回収拠点運用の実証研究 環境配慮行動の心理モデル(広瀬モデル・行動変容ステージモデル)に基づき、回収参加を促す啓発手法の効果を回収拠点での実証を通じて検証します。利用者・未利用者へのヒアリングも交え、都市部で実現可能な回収モデルと拠点運用のあり方を提案します。


廃食用油の回収に関して地域住民へ意識調査を実施 (2026/8/24 板橋エコポリスセンター)

街の飲食店に排水油泥に関するアンケートを配布して周る様子(2026/9/7 大宮駅周辺)

今後の展開

2026 年度内に、各テーマについて実態調査やデータ分析、回収拠点での実証を進めます。研究成果については、2027年1月28日に予定されている研究発表会や、2月下旬に開催される廃棄物資源循環学会関東支部研究発表会などを通じて、順次発表する予定です。
アールイーは、今回の共同研究で得られた知見を実際の廃食用油等の回収事業に生かし、回収拠点の最適化や事業者との連携拡大などにつなげていきます。また、企業が持つデータや実証フィールドと、大学が持つ環境政策・データ分析・行動科学の知見を組み合わせることで、未利用資源の回収から再資源化までを地域の中で循環させるモデルの構築と、次世代を担う環境人材の育成を目指します。

芝浦工業大学 システム理工学部 袖野玲子教授 コメント

家庭から出る廃食用油や飲食店の排水油泥には、まだ十分に活用されていない大きな資源ポテンシャルがあります。今回、企業が持つデータや実際の回収現場をフィールドとして、その可能性を明らかにするとともに、どのような仕組みや働きかけが回収促進につながるのかを検証できることを大変意義深く感じています。学生とともに、研究成果を実社会の課題解決につなげることができる貴重な機会と捉えています。将来的には、今回の実証を通じて得られた知見や回収モデルが他の地域にも展開され、未利用資源の回収・再資源化を通じた資源循環の推進につながることを期待しています。



袖野玲子(そでの・れいこ)教授 プロフィール

芝浦工業大学システム理工学部建築・環境課程教授。環境政策研究室を主宰。 環境省で約20年にわたり廃棄物管理等の国内外の環境問題対策、国際環境協力等に従事した後、OECD 日本政府代表部勤務、慶應義塾大学准教授を経て現職。博士(地球環境学・京都大学)。専門は環境政策、資源循環・廃棄物政策、SDGs の地域実装。中央環境審議会専門委員、東京都環境審議会委員、さいたま市廃棄物減量等推進審議会副会長、廃棄物資源循環学会理事(国際委員長)などを務める。



■芝浦工業大学 環境政策研究室について
芝浦工業大学 システム理工学部の環境政策研究室(袖野玲子教授)は、「環境問題から社会の幸福を考える」ことを掲げ、脱炭素社会・循環型社会の実現に向けた環境政策、廃棄物管理、環境配慮行動などを研究しています。
URL:https://www.shibaura-it.ac.jp/faculty/laboratory/00095.html




会社概要

会社名:アールイー株式会社
代表者:代表取締役 今井 直樹 / 代表取締役 大慈弥 晶土
設立年月:2016年4月
本社:東京都豊島区巣鴨1-9-1 グランド東邦ビル
事業内容:コンサルティング事業/プロデュース事業/マッチング事業/ビッグデータ利活用事業/生成AI事業/中小企業支援事業/クリエイティブ事業
URL:https://re-jpn.net/
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